《誉れの剣》
イーヴリン・ウォー
小山太一訳

つわものども  誉れの剣T
 Men at Arms (1952)

カトリックの旧家出身の紳士ガイ・クラウチバックは結婚に失敗し、イタリアの別荘で隠遁生活を送っていたが、ナチス・ドイツの擡頭にヨーロッパ情勢が風雲急を告げると、今こそ大義に身を捧げる時とイギリスへ帰国する。やがて第二次世界大戦が勃発、ガイは入隊先を求めて運動するが、軍隊経験のない三十五歳の中年男を採用しようという隊はなかった。それでも、なんとか伝手をたどって伝統あるホルバディアーズ連隊に見習士官として入隊したガイは、アフリカ帰りのアプソープや年下の若者たちと共に訓練を受けることに。旅団長には第一次大戦の勇士リッチー=フック准将が着任し、戦地へ向かう準備が進められるが……。戦争のメカニズムに巻き込まれた人々の滑稽でグロテスクな生態を、真面目な思索と辛辣な諷刺、時にスラプスティックな笑いのめまぐるしい交錯のうちに描いたイーヴリン・ウォーの名作《誉れの剣》三部作の第一巻。ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞受賞。本邦初訳


◆白水社/エクス・リブリス・クラシックス
◆2020年7月刊 3400円(税別)
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◆装丁=緒方修一

◆四六判・上製


◆続刊
士官たちと紳士たち
無条件降伏


イーヴリン・ウォー (1903-1966)
イギリスの作家。ロンドン郊外のハムステッドに生まれる。オックスフォード大学では放蕩生活を送りながら学内文芸誌に関わり、大学中退後、パブリック・スクールの教師となる。1928年、教師時代の体験を基にした『大転落』を発表。『卑しい肉体』(30)では第一次大戦後の「陽気な若者たち」を取り上げ注目された。同年、カトリックに改宗。『黒いいたずら』(32)、『一握の塵』(34)など、辛辣な諷刺とユーモアに溢れた作品で人気を博し、作風を転換し、貴族の生活を美しく描いた『ブライヅヘッドふたたび』(45)は大成功を収めた。戦後の代表作に『つわものども』『士官たちと紳士たち』『無条件降伏』の『誉れの剣』三部作(52-61。合本改訂版 65)、『ピンフォールドの試練』(57)がある。