国際演劇協会日本センター
top 国際演劇協会とは 沿革・組織 出版物 事業 事業報告 入会申込
内村直也賞 伝統芸能ワークショップ 優秀指導者招聘 養成プログラム アジアダンス会議 BeSeTo演劇祭 秀作短編シリーズ
内村直也賞

この賞は日本の演劇を愛する外国人を奨励するため、内村氏の御遺族が同氏の意志を継いで1992年に創設されました。毎年、日本の戯曲上演あるいは日本の演劇に関連したすぐれた海外の上演作品に対して、ITI理事国会議で審査選考の後、贈られます。

第12回 内村直也賞

2003年度の第12回内村直也賞の選考は、第118回理事国会議の際に行われた。(2004年2月21-23日、パリ、ユネスコ本部にて)
 今回はフランス、アメリカ、ノルウェーの各センターから候補作品が推薦され登録があった。三国の作品はともにそれぞれ質が高く内容も充実しており、選考には様々な意見がでた。

 まず推薦を出したセンターの代表から各候補について説明があった。ノルウェーの候補については理事国アイスランドの代表から推薦理由が述べられ(候補の演出家はノルウェー、アイスランド両国で活躍している。)、フランス候補については前事務総長ペリネッティ氏が、アメリカ候補については代表のチャニック氏がそれぞれ説明した。会議の一日目には結論が出ず、二日目に再度検討することになり、結果は、投票の末、満場一致でノルウェーセンター推薦のホイクール・グンナルソン氏の長年に亘る日本演劇研究と紹介およびそれを基礎にした創作(特に昨年の三島由紀夫作近代能楽集の『弱法師』と『班女』)が高く評価され、受賞することとなった。
 なお、フランスセンター推薦のクリストフ・マルトー氏の作品がスペシャル・メンションとして記録されることも決まった。

2003年度の内村直也賞候補は次のとおり。

1. ホイクール・グンナルソン Haukur Gunnarsson
(演出家、ノルウェーとアイスランド両センターの推薦)

 1949年レイキャビック生まれ。1969-1972年日本に滞在、早稲田大学演劇科で日本演劇を専攻、また同大学日本語研究所で日本語を習得した。 1972-75年英国ハル大学ドラマ芸術学部卒業。同学部で東南アジア演劇も学ぶ。その後1977, 1984, 1986, 1987, 1990年にも来日し、個人教授として戸部銀作、出雲蓉の両氏に付いて歌舞伎を学ぶ。

 グンナルソン氏はアイスランド出身だが、現在はノルウェーに在住し、アイスランドとノルウェーの両国で25年にわたり日本演劇に関する研究と創作を続けている。氏はアイスランド人として初めて日本に留学しアイスランドに初めて日本の演劇を紹介した人でもある。

 留学を終えて帰国後すぐにアイルランド国立劇場で発表した『鳴神』と狂言の『花子』から発想した作品『北山桜』1982は成功をおさめ、観客に日本文化と日本の古典芸能への関心を呼び覚ましたエポックメーキングの作品となった。その後、村上元三作品にヒントを得た『悪魔か否か』(原案は茨木)1986、芥川龍之介原作『羅生門』1985、『隅田川』と三島由紀夫作『葵の上』の2作を構成した作品『愛憎』1986,『広島の子供たち』1987, 岡本綺堂作『平家蟹』1988, 少数民族のラップ族に伝わる話に翻案した『鳴神』1991などを次々に制作、演出した。

 また、オスロ大学演劇科、アイルランド国立演劇学校、ロメリケ大学などで日本の演劇についての講演をおこなう一方、出雲蓉氏による地唄舞の北欧3国巡演(アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)を企画(1986)するなど、自身の作品が日本と関係の深いものであるばかりでなく、広く日本文化そのものの紹介も努めている。

2. クリストフ・マルトー  Christophe Maltot
(演出家、俳優。フランスセンターの推薦)

 1969年生まれ。パリのコンセルバトワール演劇校で演出と演技を学び1995年卒業、1998年劇団アルティキュル(連接する、の意味)を創設。メスギッシュ、ラントン、ラングホフ、レジイ、ピイ等のもとで演出を、喜多流の狩野丹秀のもとでに能を学ぶ。

 俳優としてはマリヴォー『恋の不意打ち』、ビュヒナー『ダントンの死』『レオンスとレナ』、サルトル『悪魔と神』、クローデル『繻子の靴』等に出演。演出作品にはアンリ・ミショー『断片』、イェーツ『鷹の井戸』、自作の『能面と能』などがある。また、アイスキュロス『鎖に繋がれたプロメテウス』ではマチアス・ラングホフの演出助手をつとめた。

 内村賞候補として2004年欧州文化首都・リール市における「10日間の日本フェスティバル」に参加予定の二作品『ヨーロッパ能三部作』『能面と能』で応募した。『ヨーロッパ能三部作』はウィリアム・B・イェイツ作『鷹の井戸』をベースに構成、『能面と能』は展示された能面と他の舞台美術要素や俳優の演技とで作り出す「能」を題材にした時空間作品というユニークなものである。

 3. ドーン・アケミ・サイトー Dawn Akemi Saito
 (俳優、舞踏家、振付家。アメリカセンターの推薦)

 1968年よりソロ・アーチストとしてニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンタバルバラなどで活躍。コロンビア大,ニューヨーク大、マサチューセッツ大をはじめ多くの大学や文化施設で舞踏のワークショップを行い、ITIのユネスコ・チェアにも参加している。『ドリーム・キャッチャー』『HA』『私の家は片方に崩れた』などの作品がある。日本の血を引く創作感覚と身体表現は独特の発声の語りと相俟って現代舞台芸術の一例を創り出した。

  内村賞候補としてとりあげられた『血の桜』は一人の人間のアイデンティティーとルーツを求める旅程を多彩な方法で表現した作品である。

 過去の受賞者・団体

1992年 パリ俳優伝統研究会
1993年 ハンガリーの演出家イシュトヴァン・ビンチェス氏
1994年 ハンス・パゾヴィック率いるサラエボ・フェスティバル・アンサンブルによる「絹の太鼓」
1995年 オーストラリアのプレイボックスシアターによる田中知禾夫作「マリアの首」上演
1996年 ハワイ大学のジェイムス・ブランドン氏演出の「助六」上演をはじめとする歌舞伎研究
1997年 リトアニアで翻訳・上演された八代静一作「弥々」
1998年 ウルグアイで翻訳上演された「夕鶴」
1999年 ロンドン大学ロイヤル・ハロウェイ校の能楽研究に対して
2000年 グアテマラ・オーストリア共同製作の「砧」を演出したアベル・ソラレス氏
2001年 クリスティナ・ニグレン氏(ストックホルム大学)の日本伝統芸能、祭と旅回りの大衆芸能の研究
2002年 近松門左衛門作『心中天網島』を創作したルーマニアのグループ
2003年 ホイクール・グンナルソン氏(ノルウェー・アイスランド)による日本演劇研究と創作「弱法師」「班女」。