Caravanの3枚

Caravan Verve VLP 6011/SVLP 6011 1969

  Deccaと契約する前にVerve/MGMからリリースされたデビューアルバム。この後、Verve/MGMが英から撤退したので、これ一枚で契約終了したようだ。このpiller sleeveのVerveオリジナルは有名なレア盤として知られる。しかし、よくまぁこんなジャケットを撮影したものだ。合成写真にしては影が付いているし、実際に柱に乗って撮影されたように見える。実にリアルだ。 構図といい、色合いといい、レア盤の匂いがプンプンする。内容も素晴らしい。すでに独特のCaravanサウンドが完成している。チープなオルガンのトーンもサイケっぽくて、コレクター的にはうれしい。


  

VLP 6011 (mono)



SVLP 6011(stereo)


mono/stereo cover back credit


US issue Verve/MGM FTS3066


US issue cover back


US DJ copy label

 最初に聴いたのはイラストのジャケットで出たMGMの再発盤だった。Place Of My Ownはいい曲だと思ったが、なんともサエない音で、それ以外は聴く気になれないくらいだった。随分あとになって英Verveのステレオ盤を買った。その図太い音の違いに驚いた。再発盤でしか聴いたことがない人は是非英オリジナルを聴いてほしい。

 ジャケットは表ラミネート、裏はフリップバック仕様となっている。ステレオとモノは表のジャケットは共通で、裏の紙だけが差し替えられている。

 モノはステレオよりもレア度が高い。この盤に関してはモノミックスが素晴らしい。ステレオよりはまとまったバランスで、安心して聴けるいいミックスだ。しかし、音質はステレオ盤の方が面白いと思う。暴力的とも思える節操のない、勢いに任せたようなカッティングは初版ならではの迫力満点の音がする。カッティングレベルも3dBくらいステレオの方が高い。音楽的にはモノ、オーディオ的にはステレオかな?

 米オリジナルのVerve盤は裏ジャケットが英と異なる。写真も解説者も異なる。音は悪くない。英再発盤よりははるかにいい音だ。

 Verveのマークを見ると面白いことに気がつく。英盤のVerveにはLP、シングルともに商標登録の丸Rがないが、US、ドイツのレーベルにはRマークが付いている。英では登録手続きしなかったのか?どうせ撤退するならと、出費を抑えたようにも思える(笑)

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 英再発盤。2003年の来日時にメンバーからサインを貰った。





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 このAデモのシングルはモノだが、素晴らしい音がする。この曲を聴くならこのシングルが最高だ。ドイツ盤のシングルも悪くないが、英シングルを聴いたあとでは霞んでしまう。しかし、ドイツ盤のB面には名曲Magic Man が収められている。ちなみにドイツ盤はステレオだ。


    Place Of My Own/Ride UK Verve VS1518


Place Of My Own / Magic Man Ger. Verve 518009


         If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over You UK Decca SKL 5052 1970

 Deccaと契約して最初に出したアルバム。前作と比べると楽器の音がリファインされていて、録音もすっきりしている。なんといっても曲がいい。A面に小品、B面には大曲For Richardを配した、バランスの取れた内容だ。カンタベリーシーンを代表する名盤といえる。


cover back
top: 1st issue / bottom: second issue
 

SKL 5052 label
ZAL9752P-2W/ZAL9753P-4W

 
 SKL 5052 Factory Sample
same matrix as regular issue


 初版は裏ジャケットの右上がSKL 5052となっている。2ndプレスからSKL-R5052となる。上のジャケットは裏にメンバー全員のサインがある。来日したときにサインしてもらったのではなく、入手したときにすでにサインされていた。各メンバーの横に実に丁寧にサインされている。英盤はサイン入りなのか?と思ったくらいだ。

 マトリクスは2W/4Wしか見たことがない。これよりも若いのがあるのかもしれないが、手持ちのテストプレスも同じだ。音質は-Rがつくレイトも大差ないように思う。しかし、テストプレスは同じマトリクスだが、通常盤とは明らかに違う鮮度がある。ファーストプレスの通常盤と同じマトリクスのテスト盤にはハズレがない。ただし、テストプレスの場合、初回マザー、スタンパー記号があるものに限る。マザー、スタンパーが進んだテストプレスもあるが、これはテストプレスの優位性が感じられない。通常盤から作られたフェイクの可能性もある。DeccaのFacroy Sampleは白ラベルはないので、偽造は難しいと思う。



 
              If I Could Do It All Over Again 
            I'd Do It All Over You/Hello Hello
                       Decca F13063
 




 In The Land Of Grey and Pink Deram/Decca SDLR1  Apr. 1971

 最初に聴いたのは76年頃のSLC品番のオリジナル見開きジャケットの再発日本盤だった。。(日本初版はシングルジャケットだ)今野雄二さんが印象的なライナーを書いていた。ポップな曲となんとも言えない軽さのある演奏で、重いプログレに食傷していたので大好きになった。71年4月といえば、GenesisのNurseryが出るのがこの年の11月。Pink Floyd AHMとかK.CrimsonのLizardが70年末、この頃これだけしっかりした演奏力で、構成のしっかりしたアルバムを発表したというのは驚異的だと思う。初期Caravanの最高傑作と言われるのも納得できる。Daveのオルガンは洗練された独特のトーンで、アルバム全体を象徴している。リズムもしっかりしているし、ヴォーカルの甘さもたまらなく好きだ。ラミネートのジャケットも美しい。録音も素晴らしい。しかも、高くない。10〜20ポンドで買える。今でもたまに聴きたくなるレコードだ。



**ジャケットの違い 右が初版と思われるもの(factory sampleについていたジャケットで発売予定日のスタンプがある)左はかなりレイトのもの。色合いがかなり違う。紙ジャケットはレイトの色合いに近い。



small red/white label
ZAL10424P-1D/ZAL10425P-1D


 
large brown/white label  
 


 この盤はかなりあとになって、シングルジャケットになるまで、ずっと赤スモールレーベルで発売され続けてきた。初版が特定しにくいレコードだ。マトリクスもずっと1D/1Dのままだ。

 しかし、ジャケットの色合いは上記の通り、薄いものが初期のものと思われる。また、レーベルはスモール茶のものが初回という説もある。私は最初から赤もあったと思っているが、赤はずっと後まで同じなので、茶であれば初期の盤と言えるかもしれない。茶にも2種類あって、大レーベルの茶(左参照)もある。これはいつ頃のものかよくわからないが、スモール茶の方が無難だと思う。しかし、大茶レーベルでも極めて若いマサー、スタンパ記号の盤も存在するようだ。大茶の方が若いプレスなのかもしれない。

 音質はやはりマザー、スタンパー記号が進んだものはそれなりに鈍い音になっている。テストプレスは同じマトリクスなのだが、ここでも抜群の鮮度で通常盤を凌駕する。テスト盤のマザー、スタンパーはもちろん1B/1Bだ。


                         factory sample
                same matrix as regular issue

Digging the Records

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最終更新日: 2008年 8月12日 0時00分