フィリピントヨタ労組 第24回コミュニティ・ユニオン全国交流集会参加

                                                     2012年
                                            フィリピントヨタ労組を支援する会

 フィリピントヨタ労組と支援する会は9月15日〜16日に京都で開催された第24回コミュニティ・ユニオン全国交流集会に参加しました。フィリピントヨタ労組は実行委員会のご尽力で海外ゲストにしていただきました。16日に分科会が開催され、ユニオンヨコスカが座長となり第9分科会「フィリピントヨタ労組の闘い、私たちの国際連帯を考える」が開催されました。

 第9分科会の参加者は全体で45名ほどでした。フィリピントヨタ労組の2名の他にユニオンみえのシャープピノイユニティの3名のフィリピン人、それと韓国から民主労総全北本部訪日団の7名も参加し、国際色豊な分科会となりました。

まず最初に、フィリピントヨタ労組のエド委員長がパワーポイントを使い、フィリピントヨタ労組の闘いの経過とフィリピントヨタ社の労働者の状況の報告がありました。フィリピントヨタ社では1990年代初めより労働組合結成の動きがありましたが、ことごとく会社の妨害によってつぶされてしまいました。現在のフィリピントヨタ労組は1998年に結成され、地道な組織化を重ね、2001年3月にフィリピン政府によって正式に交渉団体として認められました。が、トヨタは組合を敵視し、その前月2月に開催された組合承認選挙の公聴会に参加した組合員たち−正式に休みを取って参加−を無断欠勤したとして227名(その後233名)の組合員を不当に解雇しました。フィリピントヨタ労組は解雇撤回を求めてただちにストライキに入り、現在に至る長い闘いが始まり、日本の支援組織=フィリピントヨタ労組を支援する会が2001年10月に結成され、ILOやOECD多国籍企業ガイドライン違反への提訴、IMF(国際金属労連)の反トヨタ世界キャンペーンやフィリピントヨタ労組が日本の全造船機械労働組合に加盟して日本国内でトヨタ社に対する闘いを継続している等の報告がされた。続いてフィリピントヨタ労組を支援する会の遠野さんから日本のトヨタ社はフィリピン現地の問題で自分たちと関係ないという姿勢を続けているが、この問題はILOでも取り上げられ、国際化しているという報告があった。

次に昨年8月、松坂市にあるシャープ系下請け工場でフィリピン人労働者を組織化し、組合を結成したピノイユニティシャープの組合リーダー、マービンさん、ジョシュアさん、カルロさんの3名の若者たちからの報告があった。実は彼らには前日の交流会で会って、分科会での報告を直前に頼んだのであったが、3名とも緊張しながらも、自分たちがなぜ組合を作ったのかを熱く語ってくれた。現在、工場従業員の過半数が組合に加入しており、労働条件向上や人権を守る闘いを続けている。また、他の工場にもつながりを作って行くと力強く述べた。

続いて民主労総全北本部訪日団のチョ・ヘンジさんから日本の東京都荒川区に本社があるADEKAコーポレーションの韓国工場、アデカコリア社(プラスチック添加剤などを主にサムスンに納入)での不当労働行為と民主労組弾圧の報告があった。2011年7月に全国化学繊維産業労組のアデカコリア支部が結成されたが、会社は現場のあちこちに20台もの監視カメラを設置し組合の行動を監視した。また、組合との交渉を無視し続け今年7月に御用組合を結成し、そして4名の組合員を懲戒解雇した。フィリピントヨタで行われているような労組弾圧が韓国でも行われている。この問題はOECD多国籍企業ガイドライン違反なので訴えようと考えていると報告を結びました。

会場からの質疑応答や討論に移りましたが、コミュニティ・ユニオン全国交流集会での国際連帯の分科会は初めての試みだった為か活発な議論とならなかったのは少し残念ではありました。日本の製造業の企業は海外に工場を作り、そこで労働組合を嫌って、不当労働行為や労組弾圧を繰り返しているようです。円高でますます企業の海外進出は増えていくことが予想されています。私たちは日本国内だけでなく、海外の労働組合とも連携を取り合って行く必要を強く感じました。

最後にフィリピントヨタ労組と民主労総全北本部訪日団がそれぞれ記念品とカンパを交換し、連帯を誓い合い、参加者全員で記念写真を撮りました。日本の各地のユニオンと交流することが出来て、フィリピントヨタ労組にとっても良い経験になったと思います。