トヨタはフィリピンで何をやったのか

        世界と日本で何をやっているのか!


        フィリピントヨタ労組を支援する会 http://www.green.dti.ne.jp/protest_toyota/
        全造船機械労働組合関東地方協議会 045‐575‐1948


違法に団体交渉を拒否

 二〇〇〇年三月にフィリピントヨタ一般従業員投票でフィリピントヨタ労働組合(TMPCWA)が過半数の支持を得て団体交渉権を獲得しました。しかしトヨタは団体交渉を拒否して、監督職労働者の票も表決に加えるべきだと訴訟を起こしました。高等裁判所はTMPCWAの団体交渉権を仮に差し止めることを認めましたが、二〇〇三年九月最高裁はこれを破棄ました。したがって日本の常識ではトヨタはTMPCWAと団体交渉を行わなければならなくなったのです。しかしトヨタは現在に至るまで団体交渉を拒否し続けているのです


233名の労働者解雇とストライキ そしてトヨタの脅し

 この団体交渉をめぐる争いの中で2001年3月TMPCWAは休暇の申し出を行った上で公聴会へ300名程度の組合員が参加しました。それに対しフィリピントヨタは無断欠勤であるとの理由で二三三名を解雇した。労働者はこれに抗議しストライキに入り、会社の操業は完全にストップしました。しかし、トヨタと日系企業商工会議所はフィリピン政府を「早急に解決しないと資本を引き上げるぞ」と脅し、政府はスト中止命令を出し、ストは終結しました。

 この解雇問題も裁判で争われています。2003年高裁では解雇有効の判決が出ているが、以来最高裁は判決を出していない。その背景にはこの労働者の欠勤の原因となった会社の団体交渉拒否が法律違反行為であると最高裁が判定したこと、また、国連の国際労働機関(ILO)がこの解雇を批判しフィリピン政府に原職復帰などを図るように勧告を出していることなどの事情がある。最高裁は、高裁判決をそのまま容認し難く、裁定を先延ばししているものと思われる。


世界のトヨタへの非難

 むろん、このフィリピントヨタの団交拒否は現地法、国際条約、OECD多国籍企業ガイドラインなどに完全に違反しています。この問題をめぐる233名にも及ぶ大量の解雇も法律が禁じる労働組合潰しのためのものであることは明かです。また、ストライキに対して「資本を引き上げるぞ」といった脅しは「ILO多国籍企業三者宣言」、「OECD多国籍企業ガイドライン」などに違反する行為であることは明らかです。

 そのため、この間トヨタに対する批判が世界中で起き、昨年九月には、国際金属労連(IMF)を中心に世界45ヵ国でトヨタに抗議するキャンペーンが行われました


第二組合作りに奔走

 しかしトヨタはそれでも団体交渉拒否し233名の解雇撤回を拒否しています。トヨタは会社と平等な関係で交渉する労働組合をどうしても認めようとしません。

 トヨタは第二組合を作り会社内では第二組合幹部にあらゆる特権を与えました。会社と第二組合はフィリピントヨタ労組を抑圧しました。トヨタはフィリピン政府に働きかけ、法律を歪めて第二組合の団体交渉権の承認投票を認めさせました。政府は法律に違反して第二組合に承認投票での勝利を宣告しました。そしてトヨタと第二組合は労働協約を結びました


品質のトヨタは死んだ

 私達がトヨタを批判すると、未だにトヨタは品質の優れた環境にやさしい車を作る立派な会社じゃないかという人がいます。確かにトヨタは耐久性に優れ、中古になっても高く売れる車を作ってきました。しかし、この耐久性に優れた車は、会社を批判する者を異端者として排除し、労災や精神障害を多発し、過労死を生み出す世界一苛酷な労働強化の下で作られたものです。下請けに労働強化と貧困を蓄積することで作り出されたものでした。

 そしてトヨタの品質は近年全く当てにならなくなってきました。トヨタは2000年以後毎年のようにリコールの数を増やし、ここ3年連続で百万台を超えるリコールを出し続けています。もはやリコールのない品質の優れたトヨタは過去のものになってしまっています

 トヨタはハイブリッド車で「環境」の波に乗っています。しかし、トヨタは労働者はむろん今や消費者に対しても決してやさしくはありません。トヨタは労働者を苛酷に搾取し、消費者に不良品を提供し続けています


一兆六千億円の利益は何処から出たのか?

 トヨタ本社、トヨタグループの現場でも派遣や臨時従業員などの非正規労働者が三分の一を越えました。下請けでは更に非正規労働者が多く、底辺の下請け業者は今や人入れ企業になり、有給休暇がないとか残業割増がないとか、社会保険がないなどといった違法が構造化しています。最底辺には現代の奴隷労働=研修生・実習生労働者を使っています。送り出し国で補償金を取って労働者を拘束し、日本国内で上納金を取りたて、残業さえも最低賃金を大きくしたまわる350円だの450円で労働者を働かせているのです。トヨタは日本ですら下請けの外国人労働者をこのように使っています。このトヨタが発展途上国でどんな違法行為をやっていても私達はなにも驚く必要はありません。


九月反トヨタ世界キャンペーン

 今多国籍企業は国境を越えて展開し国家以上の大きな力を持ってきています。多くの多国籍企業は、発展途上国では、トヨタに見られるように現地法、国際条約を無視し傍若無人に振舞っています。先進諸国においても、自分達の利益のため労働市場を規制緩和し過労死を生み出し貧困が蔓延する社会を作り上げてしまいました。

 今このように競争に追い立てられ、利潤と時価総額の増大のみを追求する多国籍企業に奴隷的に隷属する御用組合ではなく、このような多国籍企業を批判できる、会社から自立した組合が必要です。働くものが世界的に団結し、過労死と貧困を撒き散らし、まともな労働組合を敵視するトヨタを決して許してはなりません


 そのためには、まず、フィリピントヨタ労組233名の解雇を撤回させることが必要です。2007年9月反トヨタキャンペーを成功させることが必要です。