2007年9月12日 日本大使館への申入れ公式文書

フィリピン国マニラ市
日本大使館
大使 殿

 トヨタが我々TMPCWAの組合員および全執行委員233名を違法解雇してからすでに6年以上が経過しました。それは労働雇用省(DOLE)長官パトリシア・サント・トマスの最終的かつ執行力のある決定によるものです。解雇された労働者が困難な状況におかれているにも拘わらず、その決定は、我々が闘争を維持するために労働者の組織化を継続することを妨げることは出来ませんでした。このような状態はフィリピン最高裁が我が組合勝訴の決定を下した時(2003年9月24日および2004年1月)まで続きましたが、しかしトヨタはこの決定さえも尊重しない態度を平然と取っています。

 トヨタは、フィリピン国内法のみならず国際法にも酷く違反しています。それは既にこれまで4年間に国際労働機関(ILO)から発せられている我が組合TMPCWAを有利とする4つの勧告をトヨタが尊重しないということに表れています。

 今や我々の闘争は、TMPCWAの指導の下、トヨタ労働者の正当かつ崇高な闘争のために、国際的な連帯によって尊敬され、また支援されて、海外にまで達しています。このことは今日、多くの国の日本大使館前でのトヨタに対する世界的な抗議活動によって証明されています。

 上記の困難にも拘わらず、TMPCWAには、我々がフィリピン・トヨタの一般労働者すべてを代表する唯一かつ正統な交渉団体であることを主張する、法的および道義的な根拠に支えられた全ての理由があります。違法、非道義的、非人道的で第1番の組合潰し屋であるフィリピン・トヨタ社は、恥知らずにも世界の労働者の声を無視し続けています。

 トヨタは日本人のイメージや文化だけでなく、日本という国全体を傷つけています。この点で、我々は日本大使館に対し、これ以上日本人や日本文化の名声に傷がつくのを避けるために、この複雑かつ悪化し続けている労働問題に適正かつ思慮深い介入をされるよう促すものであります。

日本大使館に対し我々は以下のことを要求いたします。

   1.フィリピン最高裁の決定と国際労働機関の勧告を実施するよう介入すること。

   2.136名の違法解雇されたTMPCWAの組合員と執行委員を職場復帰させるよう介入すること。

   3.18名のTMPCWAの組合員と指導者に対するでっち上げ刑事告発を取り下げるよう介入すること。

   4.TMPCWAを適法な交渉団体とした最終的かつ執行力のあるDOLE長官の裁定を実施するよう
     介入すること。

   5.TMPCWAとの交渉を始めよとのフィリピン最高裁の決定を実施するように介入すること。および

   6.トヨタを教育すること。

以上が本日我々が日本大使館を訪問した一番目のそもそもの理由である。

 日本大使館の方々が上記の要請について迅速かつ具体的な措置を講じられるのを確認出来ることを期待しています。

 以上のことに加えて、下記のことに貴殿の格別の注意を払って頂きたい。

 既によくご承知のことと思いますが、日本政府は、OECD多国籍企業ガイドラインを自発的に受入れており、外務省、経済産業省および厚生労働省から成る特別班(現在その長には外務省派遣の堤尚広氏が当たっている)が、同基準に基づく日本のナショナル・コンタクトポイント(以下「NCP」)であると称している。貴殿はまたご承知と思いますが、我々TMPCWAは、問題の真の容疑者は日本トヨタであり日本トヨタこそが同基準に基づく責任を負うべきであると信じるがゆえに、この日本NCPに対して事件を提訴したのであり、これは現在係属中です。

 上記事件に関し、我々は、今年4月に堤氏より、見たところ我々に大変好意的な回答書簡をもらいました。そこにはこのように書かれていました。すなわち、「NCPは、引き続き根気強く双方から意見を聴取していきますし、事情が許すならば問題の解決のために仲介の役割を提供していく用意があります」と。この書簡は、我々には、あたかも我々の問題の解決に向っての、長い間待ち望んでいた潮がようやく遂に到来したことを告げ知らせる幸せの鐘であるかのように鳴り響いたものでした。

 ところがなんと、我々は間もなく騙されていることを知らされたのです。なぜならば真相はまったく反対だったからです。NCPは解決のためにまったく何もしていないのに、我々に対して甘い言葉を振りかけていたからです。その上、それから暫くして、今度は、また大変悪いニュースを知らされました。それは、NCPがフランスのパリにあるOECDのTUAC(労働組合諮問委員会)に報告書を提出していて、そこに次のように述べていたからです。すなわち、「NCPはフィリピン裁判所にかかっている事件が終結するまでは、いかなる処置も講じない」と。

 NCPは、我々がNCPに提訴した時点で既に、フィリピンの裁判所に事件が係属中であることを知っていたのです。NCPは、我々がフィリピンでは解決しないからこそNCPに提訴したということも知っていた筈です。にも拘わらず、NCPは、フィリピン裁判所に懸かっている事件が終結するまではNCPはいかなる処置も講じないと、OECD TUACに報告しているのです。まったくひどいではありませんか!OECD多国籍企業ガイドラインの目的と役割は、一体全体どこにあるというのでしょうか?! 同基準は、多国籍企業の自発的意思をも反映して、国家間の国際約束として制定されたのではないのですか。

 ここに、さらに悪い、そして重大な、事実があります。それは、NCPが、フィリピン裁判所にかかっている事件が終結するまではNCPはいかなる処置も講じないという上記の決定を、我々提訴者に知らせなかったことです。そのことを今日までさえ知らせてきていないのです!NCPがその努力あるいは「仲介の役割」の進展について、現在まで何も知らせてきていないことは言うまでもありません。

 かくして、以上のことから明白なように、我々の本日の日本大使館訪問の2番目の格別の理由は、大使に次のことを要請することにあります。すなわち、大使は、上記の事実と我々の気持を、速やかに正しく日本政府に伝え、日本政府が遅滞なく適切な措置を講じて、NCPの現状を調査し、見直し、改善するとともに、我々の問題の出来るだけ早い解決のためにその努力を加速するよう促せて欲しいことです。
当然のことながら、我々はこの点についても貴殿からの回答を期待します。

以上、有難う御座いました。

労働者たちのために、是非宜しくお願いします。

ED G. CUBELO
President-TMPCWA
tmpcwa1998@edsamail.com
tmpcwa@edsamail.com.ph