中労委 再審申し立てを棄却!トヨタの国境を越えた不当労働行為を免罪!
多国籍企業トヨタの母国、日本でトヨタに有罪を!
2007年1月25日
フィリピントヨタ労組を支援する会
2006年12月20日中央労働委員会は全造船機械労働組合関東地方協議会のトヨタ不当労働行為の救済再審査申し立てを棄却した。理由は神奈川県労働委員会の判断と同様で、日本の労働組合法は「わが国に存在する労使関係に適用される」のであり,「国外において生じている労使紛争」には適用できないというものである。
中央労働委員会は 事実を歪曲し、
トヨタの海外への不当労働行為指示を免罪する
この命令は事実を正しく捉えていない。いうまでもなく、今やトヨタ資本に限らず多国籍企業資本は国際化、グローバル化している。トヨタが多国籍企業とかグローバル企業といわれるのは、日本にあるトヨタ自動車がその資本を世界的に展開しているからである。つまりこの展開されて外国にあるトヨタが、例え独立法人であっても、また各国の外資制限で合弁の独立法人であっても、その全体がトヨタというブランド名が示す理念と世界戦略の下に資本のみならず人・技術・部品供給などで結び付けられた単一の有機体なのである。
したがって、現在の社会では多国籍企業、グローバル企業の行動を巡って企業と消費者の関係、企業と地域住民の関係、企業と労働者の関係は不可避的に国際化、グローバル化し、不当労働行為も国境を越えたものになる。それに対して不当労働行為の救済を求める行為もまた国境を越えたものになる。昨年国際金属労連(IMF)を中心としてフィリピントヨタの233名の解雇撤回、団体交渉の開始を求める闘いが世界45ヵ国で闘われたのはこの労働者の闘いもまた国境を越えるのだということを現実の運動で示すことになった。
私たちが救済を求めているのは「国外において生じている労使紛争」ではない、このトヨタ自動車の国境を越えた不当労働行為についてである。フィリピントヨタ労組が不当労働行為を受けたのは確かにフィリピントヨタからである。しかしトヨタ自動車はこのフィリピントヨタの行為を指示もしくは承認している。このことの救済を私達は求めているのである。このトヨタ自動車は日本の企業である。そして救済を申し立てた日本の労働組合である全造船労働組合関東地協である。そしてフィリピントヨタ労組は全造船労働組合関東地協の傘下団体であり、全造船機械労働組合関東地協は当事者組合としての資格を持っている。すなわち日本の企業が国境を越えて行った不当労働行為を、当該組合を国境を越えて組織している日本の労働組合が救済申し立てしたのである。
ところがこの「命令」は、時代錯誤にもこの国境を越えて争われている労使紛争を勝手に「国外の労使紛争」に歪曲してしまったのである。そしてこの国外の紛争には日本の労働組合法は適用できないとして、トヨタ自動車の世界中に対する国境を越えた違法行為を免罪してしまった。むろん単なる海外の労使紛争であれば日本の労組法が適用されることはないであろう。しかし問題となっているのは日本の企業の国境を越えた行為であり、この国境を越えた不当労働行為を改めよといっているのである。もしトヨタがこれを改める必要がないならば、日本の多国籍企業は日本から世界に組合潰しの指示をやりたいだけやってよろしいということになってしまう。
過労死生産方式=組合潰し生産方式で違法まみれのトヨタ自動車
問題を深刻にしているのは、日本のトヨタ自動車は違法行為まみれの企業であり、とりわけ労使関係の不法に関しては確信犯的な企業であること、またフィリピンは大国や多国籍企業の違法行為を司法が裁いてもその判決が実施されないことが多く、多国籍企業の違法行為が放置されていることである。
昨年7月以来マスコミは次から次とトヨタの国内の違法行為を報道した。トヨタの違法行為に焦点を合わせながら2006年のトヨタの出来事を下にざっと整理してみたが、マスコミ報道だけで、偽装請負、違法派遣、偽装出向、不当労働行為、労災隠し、最低賃金・残業割増違反、強制労働、リコール隠し、架空販売、粉飾決算、汚水排出、税申告違反など、実に11件である。このように違法行為が多発し労使関係では不法が構造化しているのは、トヨタ生産方式が「過労死生産方式」であり、「労働組合潰しの生産方式」だからである。トヨタは従業員の過労死をいとわないし、御用組合しか認めない。いうまでもなく、私人であればこれだけの不法行為を重ねれば公的な社会から確実に追放され,零落する以外ない。しかし,法人としての巨大企業は生き延びるのであり、違法行為をものともせず世界中に膨張し利益を拡大し続け、世界に「過労死生産方式」「労働組合潰しの生産方式」を広めている。
発展途上国で傍若無人に振舞う多国籍企業
新春早々新聞が伝えている。昨年フィリピン米兵レイプ事件で地方裁判所が有罪判決を出し米兵はフィリピン政府に引き渡された。しかし、アメリカ政府は米兵控訴の後に米兵をアメリカに引き渡さないと共同演習を拒否するとフィリピン政府を恫喝し、フィリピン政府は米兵を再びアメリカ大使館に引き渡した。フィリピンは八千万人超の人口を要する発展途上国では大国のひとつである。にもかかわらずフィリピン政府は戦前にタイムスピリットしたかのようにアメリカに屈従している。このことはフィリピン政府が自国民の利益よりも日米欧諸国の利害を優先せざるを得なくなっていることを示している。
フィリピントヨタ問題でも、フィリピン政府はフィリピン最高裁判所がフィリピントヨタ労組の団体交渉権を認めても、トヨタ(フィリピントヨタ)がそれを認めない限りトヨタの団体交渉拒否を放置している。これはトヨタに対してだけではない。フィリピン・ネスレ、フィリピン日産争議でも同じである。フィリピン日産争議では「最高裁は、去る2006年10月31日にその最終判決を下して、事件の明確化を発した。判決は、16名の組合執行委員を解雇としながらも、144名以上の日産の正規労働者を復職させることを命じた。」(「ニュースリース」2006・11・28より) しかしなんと!驚くべきことに日産は、交渉の席で職場復帰でなく退職金、それも「25名の退職金についてのみ解決に応じる」(「同」2007・1・11)と言い放っている。
また,これはフィリピンに限らない。政治的な問題はともかく労使紛争に関する限り、中南米などの一部政権を除いて発展途上国のほとんど全ての政権が多国籍企業を擁護し労働者を弾圧する。人口13億を数え購買力平価GDP世界第二位、市場為替レートでもGDP世界第四位の大国中国ですら例外ではない。日米欧の多国籍企業は世界人口の85%を占める発展途上国でまさに傍若無人に振舞っている。そして、いまや日米欧諸国においても同様に振舞おうとしている。
多国籍企業本国でこそ闘いを
トヨタは御用組合以外の労働組合潰しの確信犯である。そして多国籍企業とその政府がフィリピンに大きな力を持っているがゆえに、発展途上国では日本のトヨタとフィリピントヨタの組合潰しを止めさせることは極めて困難である。だとするなら、やはり私達は多国籍企業トヨタの母国でトヨタを追い詰めなければならない。トヨタがフィリピントヨタの不当労働行為を指示または容認し続けていることが犯罪であるという判決を獲得することが必要である。
私達はあきらめるわけにはいかない。多国籍企業のグローバル化によって発展途上国の貧困と不法が日米欧諸国にも持ち込まれている。日本における「働いても貧しい」人々の急増、そして下に示したトヨタの日本での違法のオンパレードはそのことを示して余りある。多国籍企業の違法行為を根本からなくすためには資本主義の先進諸国で彼らの違法行為を改めさせるだけでなく発展途上国での不法状態を改めさせることが必要である。労働者がグローバルに団結して多国籍企業の横暴を一つ一つ潰していかねばならない。
世界の労働者の団結で、フィリピントヨタの闘いを勝利させなければならない。
世界製造業NO.1企業トヨタに勝利しなければならない。
トヨタ2006年、違法行為のオンパレード! |
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