反トヨタグローバルキャンペーン第二波行動
              世界45ヵ国の労働者が決起

労働組合を潰し、過労死と貧困と不法を生み出すトヨタを包囲!

2006年10月1日
フィリピントヨタ労組を支援する会

闘いは七年目に、世界に広がる反トヨタキャンペーン

フィリピントヨタ労組のトヨタとの闘いはすでに7年目に入った。私たちがフィリピントヨタ労組を支援する活動を本格的に開始した2001年から数えても6年目である。この年からトヨタに対する闘いは国際的な闘いとなった。日本の関東・愛知での闘いがフィリピン現地の闘いを鼓舞し、フィリピン現地の闘いが日本の闘いに元気を与えてきた。しかしこの闘いは国際的ではあったが、まだフィリピン現地とトヨタの本拠地である日本だけでの闘いであった。

 2003年9月のフィリピン最高裁判決、同11月のILO勧告、これをてこにした2004年以来のILOロビー活動などがフィリピントヨタの闘いを世界に押し出した。今年この闘いはIMFの全面支援を得て、6‐7月の反トヨタグローバルキャンペーン第一波の闘いでブラジル、オーストラリア、南アフリカ、タイ、イギリスのトヨタの労働者に広がった。9月の第二波は45ヵ国に広がった。アジアではパキスタン、インド、ネパール、バングラディシュ、スリランカからインドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、韓国へ、ヨーロッパではベルギー、フランス、旧ユーゴスラビア諸国、ルマーニア、ウクライナ、ロシアへ、そしてアフリカ、南アメリカでもチリ、ケニアが続いた。闘いは点から線、面へと広がっている。北米と日本を除いたIMF傘下71組織が立ち上がった。

 むろん今回の世界各国の日本大使館、領事館に対する抗議行動はデモから手紙までの様々な形態と規模で行われており、これを45ヶ国という単なる国数で過大評価することはできない。また、日本のIMF・JCとアメリカが参加していないことに示される弱点もある。だがフィリピントヨタ労組の闘いを支援する世界の闘いが単なる国際的な闘いのレベルを大きく超えてグローバルな闘いに発展していることの意義は重要である。そして私たちはこの闘いに参加している労働者の多くが発展途上国の労働者であることに注目しておく必要がある。45ヵ国のうち西欧の数ヵ国、オーストラリア、韓国、日本と資本主義の先進諸国は10ヵ国にも満たない。

現地政府と結託して労働運動を弾圧する多国籍企業

1990年代から本格化した多国籍企業の全世界への展開は多国籍企業をグローバル化し、多国籍企業の国境を超えた無政府的な競争を生み出し、全世界を弱肉強食の世界に変えつつある。多国籍企業は発展途上国の安い労働力を使ってこのグローバルな企業競争に勝利しようとしている。そのために多国籍企業は発展途上国の安くて不安定な労働条件におかれている労働者の中にさらに安く不安定な労働条件におかれる非正規労働者を大量に作り出している。そして多国籍企業は労働者に劣悪な労働・生活条件を強制するばかりでなく、政府と結託して労働組合活動を弾圧している。多国籍企業は、ここでは国際的な労働規範を示す国際条約を無視し、さらに労働者の権利を制限し限定した国内法や最高裁の判決すら無視する。多国籍企業は時には警察や軍隊、軍隊の下に組織されたマフィアと結託して労働組合を暴力的に弾圧する。フィリピンではアロヨ政権家で人権活動家、ジャーナリストなどとともに労組活動家が暗殺され続けている。

過労死と貧困、不法を生み出すトヨタ

むろん多国籍企業の世界展開は日本の労働者にも苛酷な現実を作り出している。今トヨタは連続3年の一兆円の利益あげているが、止まらないリコールと次々と暴露される不法行為の中でのたうっている。この一兆円を越える利益とリコール拡大・一連の不法行為は完全に結びついている。トヨタの一兆円の利益を生み出したのは、トヨタグループにおける超過密・長時間労働と3分の一を超える非正規労働者の拡大と不法行為である。この間のトヨタの利益拡大はトヨタ本体と下請企業に人件費が2分の1から3分の1の非正規労働者を導入したことによってもたらされたものである。そしてこの非正規労働者の導入は構造的な不法と一体であった。トヨタは2001年と2003年にサービス残業で厚生労働省に摘発されたが、現在もQCの小集団活動などを労働者の自主的活動であり、残業ではないとしてサービス残業を強制し続けている会社である。このような不法企業であるトヨタの下請けでは文字どおり不法のオンパレードである。違法請負、違法派遣から始まって残業割増・社会保健・年金未払い、有給休暇不支給、労災隠し、違法解雇、そして研修生実習生に象徴される強制労働が続く。それに抗議すればただちに解雇される。

 トヨタはトヨタ大企業グループ正規労働者には相対的には高い賃金を支払っているが、同時に彼等に過労死や精神疾患を生み出さざるを得ないほど超過密長時間労働を強制した。そして、トヨタのもとにはワーキング・プアー、低賃金と不法構造の下で「働いても働いても」安定した生活が見通せない大量の労働者が生み出されている。トヨタ生産方式とは過労死生産方式であり、貧困と不法の生産方式である。トヨタ奥田を筆頭にした日本の多国籍企業の下では日本の労働者は子供を2人産み育て教育することすらできない。日本の多国籍企業が主張してきた「企業利益の追求と企業の発展の下での労働条件の向上」がいま労働者の生活を破壊している。

立ちあがる発展途上国の労働者、グローバル化する労働運動

だが重要なことは、多国籍企業が国境を超えて世界展開することで世界を弱肉強食に変えただけでなく、発展途上国にも大量の近代的な労働者を生み出していると言うこと、今回の反トヨタグローバルキャンペーン第二波闘争に示されるように、苛酷な条件下にあるにもかかわらずそこで労働運動がしっかりと根付きつつある、ということである。そして発展途上国の労働運動はフィリピントヨタ労組がおかれた困難な条件を熟知しているがゆえにそれを支持する闘いに多数立ちあがっているのだと言うことである。

 また、この多国籍企業によってグローバル化された世界において、日米欧の多国籍企業が発展途上国政府と結託して労働者の権利を奪い、労働者の組織を破壊し、劣悪な生活条件を労働者の強制しているとき、日本の労働者だけが豊かな生活ができるなどということはあり得ない。世界の無権利状態、世界の不法状態、世界の劣悪な生活条件は確実に日本にも還流する。私たちはそのような新しい時代を向かえている。そして多国籍企業のグローバル化は同時にグローバルな労働運動も生み出している。弱肉強食の世界を演出する多国籍企業を統制するためには、このグローバルな労働者運動の成長が不可欠である時代の中に私たちはいる。

 グローバルな多国籍企業トヨタの母国は日本である。多国籍企業の海外子会社の闘いは、マレンタッキ−IMF書記長も言うように本国での多国籍企業に対する圧力が決定的な役割を果す。また、海外子会社の労働者の闘いを持続させ、それを支援する国際的な結びつきを形成するためにも本国での闘いは重要な役割を果たすことができる。

 日本での闘いが決定的に重要である。今トヨタに対する日本での闘いも第二段階に入りつつある。9月第二波闘争は9・15トヨタ東京本社行動(東京総行動)での200人の参加を軸に、フィリピン大使館への申し入れ行動、埼玉での営業所、東京のショウ・センター(AMLUX)、愛知のトヨタ毎日ビルへの抗議行動など全国に広がり始めた。この闘いは今後更に拡大するに違いない。

フィリピントヨタ労働者の闘いを日本全国、全労働者の闘いに!