先日リニューアルオープンした岐阜県は各務原市の、かかみがはら航空宇宙博物館に行ってきた。
もちろん、新発見の資料に基づき復元した十二試艦戦の原寸大模型を拝むためである。
これだ。事前に発表されていた写真からも伺えるとおり、何となく寸詰まり、寸胴のシルエット。
先細り気味で、なんかぬめっとした感じのカウリング。二翅プロペラでスピナーはなし。
特に印象深いのが、カウリングに半分埋め込まれたオイルクーラーの空気取り入れ口。丸くてでかい!
水滴型ながら枠の多い風防は零戦のイメージ通り。アンテナが強く前傾し、折れ曲がっている。空中線の距離をかせぐためだろうか。
主翼の日の丸の中に突起がある。エルロン駆動用のリンクだろうか。上面に大きなマスバランス。
これは全然見えなかったので色補正した写真。翼前縁に、まだ20ミリ機銃の銃口がない。
以下、白っぽく写っている写真は色調補正をかけている。なるべく元の色のままにしたかったのだが、あまりに見えにくいものは補正した。
フラップを示す赤枠。ここにも赤く塗られた突起がある。胴体後部には搭乗用の手かけ足かけが。
胴体後部の銘板。
垂直尾翼の背が少し低い気がする。舵面は羽布張り構造がよくわかる。点で終わるシッポはまさに零戦。
コクピット下の胴体下面。右が機首側。何に使うのか、二つ覗き窓がある。
胴体中央には懸吊架のたぐいがなく、両翼にそれらしきものが。突起は20ミリ機銃収納のクリアランスだろうか。エルロンも羽布張り。
水平尾翼下面の、特徴的な巨大マスバランス。横から照明を受けて影が落ちている。
引き込み式の尾輪も、妙にでかい。
52型丙の計器板。機首上面機銃の銃尾が通る穴の大きさが印象的。
堀越技師の残したメモ。黒い部分は私の影。
ここからは零戦以外のもの。キ91に搭載する予定だったエンジンの試作品。こんなものが現存していたとは。
過給器の渦巻きが美しい。
飛燕1型に搭載されたハ40エンジンの一部とカムシャフト。長い!工作が大変なのも道理だ。
当時の飛行従事者の技能証明書。
日本で2番目に飛行したグラーデ機の模型。
胴体が竹竿!昔の人って凄いなあ。
大変味わい深い形状の尾翼。
翼下にハンモック状の座席があった。
ここからは戦後編。T−4練習機開発の際、ドロップタンク切り離し時の挙動を調べるため、タンクの尾翼を様々な形状で試作し、風洞実験を繰り返した。これはその一例。
飛行機の開発に時間がかかるのも納得できるのではないだろうか。
レーダー探知を避けるため全木製のステルスヘリ・・・・・・ではなく、OH−1開発時のモックアップ。
民芸品的味わいが素晴らしい。このセンサーマウントとかたまらん。
アリソンの液冷エンジン。
日本のエンジンに比べると、「完成された工業製品」という感じがする。
以下は、STOL実験機「飛鳥」。間近で見たのは初めて。細部写真ばかりになってしまった。ほとんど真下に向いているフラップ。
駆動部の拡大。このスクリューを回して押し下げる。
エンジンナセルの下から突き出ているのは、たぶん緊急時に燃料を投棄する燃料ダンプマスト。こんなに長いのは初めて見た。エンジンが主翼上面で前縁より前に位置するのと、大きく下がったフラップを避けるためにこうなったのだろうか。
主翼上面。右が機首側で、半円形がエンジン排気口。排気をフラップへ導くために細かい整流板が付いている。
涙ぐましいほど細かい、エルロンの整流板。
水平尾翼前縁に、これまた極端に反り返ったスラットが付いていた。
「飛鳥」最大の特徴である、主翼前縁から突き出たエンジン。
その間にも、整流板が付いていた。主翼上面を流れる空気を乱さないためだろう。
これは珍しい、国産飛行艇開発のための実験機。
完成品のPS−1とは相当におもむきが違う。操縦席の上に、補助エンジン用の空気取り入れ口があるのがワイルド。
外側が2翅、内側が3翅の不思議なプロペラ。永年飛行機を見てきたつもりだが、こんな設計は初めて見た。データ取りのためだろうか。主翼前縁の巨大なスラットも目を引く。