京アニのＴＶ作品では、絵コンテ・演出を同じ人が手がけることが多いように感じたので、調べてみた。

『フルメタル・パニック！ふもっふ』から『日常』(Eテレ版はのぞく)まで計235話(総集編はのぞく。『ふもっふ』は30分2話の場合は2話とカウント)のうち、絵コンテ・演出が同一人物の場合194話。別人30話(『らき☆すた』18話はこちらに含む)。絵コンテ・演出のいずれかが連名でそのどちらかが絵コンテ・演出の両方を手がけている場合11話。

思った通り、約83パーセントと圧倒的に同一人物が担当している場合が多い。連名の場合も同一人物に含めれば、87パーセントにも上る。これだけ徹底しているなら、やはり会社の方針ではないかと考えるのが自然だろう。『日常』に至っては全部そうだという徹底ぶり。

下の表を見て気づくのは、別人が担当する場合は武本康弘、石原立也、山本寛など監督クラスが絵コンテを担当している、という点である。
画面を設計するのは絵コンテだが、最終的に画面の仕上がりを決めるのは演出処理だと聞く。上級者の絵コンテを読解させた上で、若いうちから演出を担当させて完成度に責任を持たせ、上達を速める狙いなのではないか。
有力な演出家が次々に社を離れても(名前は出さないが)屋台骨が揺るがないのは、こうしたシステマチックな育成を行っているからではないか、とも想像する。


試しに、J.C.STAFFの近作と比較してみた。J.C.STAFFを選んだ理由は、従業員数から見た会社規模が近く(京アニ129名、J.C.120名。いずれも公式サイトによる)、自社内に撮影・美術部門を持ち、かつ演出主導の作品作りをするスタジオだから。演出主導云々の部分は、松倉友二プロデューサーの発言に基づく私の推測。

そこから、演出技術の突出ぶりで他の追随を許さない名作『とらドラ！』と『青い花』を。
『とらドラ！』はBD-ボックス特典OVAを含む26話中、同一人物6話。別人18話。連名・共通が2話。
『青い花』は11話中同一人物6話。別人5話。
特に定まった方針があるようには見えない。もっとサンプルを採れば違ってくるかも知れないが、気力が尽きた。


え、何か忘れてないかって？
なんのことだろう。『空を見上げる(以下略)』なんて知らないよ！