RDV−1.1 使用レポート

RDV−1.1を使ってみての感想をまとめました。DENON DVD-A1からの買い換えなので、比較対象となる画質がそれなりだということはご承知下さい。モニターは、ソニーのグランドベガHD800で、コンポーネント接続です。

まずDVD「薔薇の名前」。ゴシックミステリの名作なのに、なぜかソフトに恵まれず、いつの間にかひっそりと発売されていました。ご覧になった方はご存じのとおり、本作の舞台は荒涼とした冬の北イタリアの山中にある修道院であり、登場人物はみな黒か茶色の僧服です。およそ色彩というものの乏しい作品なのですが、今回見直したら、まずとても色鮮やかなことに驚きました。
画面全体のトーンが淡色なだけに、夕陽に照らされる石壁や、雲間にのぞく青空、古写本の挿絵、といったディテールが強烈にアピールします。
中盤の見せ場、迷宮図書館は、得体の知れない広大な空間が見事に再現され、冷え冷えとした空気感も伝わってきます。
終盤に登場する教皇使節の赤い法衣の毒々しさ、金ピカの装飾の細部表現もバッチリ。

本作は、以前BSハイビジョンで放送されたので、D-VHSで録画したのですが、LDと観比べて大差ないと感じ、消去してしまった経緯があります。マスターの状態が悪かったのかも知れませんが、DVDの情報量を改めて見直しました。

続いて「13ウォーリアーズ」。中世の北欧を舞台としたアクション映画の佳作です。マイケル・クライトン原作、アントニオ・バンデラス主演、ジョン・マクティアナン監督と、ビッグネームが並んでる割には地味すぎたのか、まるで評判になりませんでした。
本作の中盤のクライマックス、夜の戦闘シーン。正直言って、A1では明らかに炎のあたっているところ以外は真っ暗で、何がなんだか分からなかったのですが、RDVでは、どこに誰がいて、何をしているのか明瞭に見て取れます。驚いたのが、主人公の鎖帷子。地面にうずくまった主人公を横から捉えるショットがあります。その腹の鎖帷子がたるんだ部分(つまり胴体が入っていない部分)の鎖がちゃんと表現され、向こう側が見える!

一方で、アニメを観るのはちょっとつらいです。本来一色ベタ塗りのはずの部分に、グラデーションのような横縞が出ることがあります。階調がなくていいのに、無理矢理階調表現しているような感じ。ひょっとするとモニター側の問題かも知れません。

RDVの売りの一つである、外部入力のアップコンバーターですが、HDDレコーダーからの入力(D→コンポーネント変換ケーブルで接続)については、ジャギーが激減しました。LDからの入力(S端子接続)も、画面全体を覆っていた紗がとれて、クリアになった感があります。ただ、人物が遠景で動いているような場面では、盛大にジャギーが出ます。色が黒側に沈みがちですが、これは調整可能な範囲です。

シャープ DV-HRD1で録画したDVD-RW(VRフォーマット)は問題なく再生できます。ただし、コピーワンス番組は不可。

音については、集合住宅の6畳間なのであまり大音量は出せませんが、低音高音とも特に不満なし。くどいようですがA1と比較して、はるかにダイナミックで解像度がアップしています。むしろ映像よりも違いがはっきりしているかも。
なお音響系は、映画用はヤマハ DSP-AZ1にAAD E-48
音楽用はシャープ SM-SX1にエクリプス512の組合せです。接続は同軸デジタルとアナログ両方使用で、気分で使い分けています。

使い勝手の点で、一つだけ苦言を呈したいのがリモコンのデカさと重さ。AZ-1のリモコンを上回る大きさで、片手で操作するのはほぼ不可能。持っていると疲れてくるほどです。もう少し機能を絞っても良かったのでは。

8月のアバックの比較視聴イベントに参加したのですが、上位3機種、本機とUX-3、A-1XVは全く甲乙つけがたく感じました。HIVIの夏のベストバイで、本機が969よりも下とされているのは、納得いかんです。

なお、HD信号を入力した場合はそのまま出力するはずが、出力してくれない、という不具合が発覚し、サービスセンターに返送してファームアップで修正。3日ほどで帰ってきました。ファームのバージョンによって、他の機体でも起こりうる不具合とのことでした。



TA−DA9100ES 使用レポート

「グラディエーター」の冒頭は、麦穂をなでていくラッセル・クロウの手のアップから始まる。(下図)



このシーン、以前は畑のあぜ道を歩いているのかと思っていたのだが、9100ESで聴いてみると、まさしく畑の真ん中を、麦を踏み分けながら歩いているのがはっきりと解る。画面の外にも一面麦畑が広がっており、その中を押し分け、踏みしだきながら歩いているのが、体に擦れる穂の音、風になびく穂の音で解るのだ。また、このシーンには風の音、麦が擦れる音にかぶさって、子供達の笑い声が入っている。私は、KRELL SHOWCASEの店頭デモで初めてこれに気がついて、以後注意して聴いていたのだが、AZ−1では、「それと解っていて耳を澄ましていれば解る」というレベルであった。これも、9100ESでは明瞭に聴き取れる。
フロントエフェクトスピーカーがなくなって、セリフの発せられる「高さ」に影響が出るかと思ったが、ほとんど感じない。逆に、サイドにスピーカーを配したおかげで、「包囲感」とフロント−リア間の「つながり」が断然違う。
フロントの音そのものは、解像度がアップして「粒が小さくなった」という印象。また、サブウーファーの低音が、何というかゴツゴツした響きになった。「低音の固まり」が直接出力されているような感じである。
総じて、A−1092からAZ−1に変えたときよりも、違いが明白である。

なお、リモコンの使い勝手はAZ−1の方がよい。9100ESのリモコンは、小さいのはよいのだが、ソースを選ぶのも音場を選ぶのも、メニューを呼び出しスクロールして選択する方式なので、時間がかかる。この点は、リモコンはでかくなっても、全部ボタン1つで済んだAZ−1の方が良かった。
最後に、LDのRF入力端子はない。単体ではLDの5.1ch音声は聞けないわけで、名実ともにLDの時代は終わった感がある。今からRFデモジュレーターを探すのも何だなあ。