高周波回路設計参考資料                               マスキシステム(有)

         受信機設計ノウハウ           戻る



受信感度を決める要素

1.受信信号の増幅度

微弱な受信信号をデータ処理回路で扱えるレベルまで増幅する必要が有ります

一般的、若しくは限界までの感度を出すには100〜130dB位必要です

同一周波数でこれだけのGAINを取りますと 発振等のトラブルにみまわれます

RFで20〜40dB 周波数変換して 80〜100dBのGAINに振り分けます

1回の周波数変換をシングルスーパー、2回変更をダブルスーパーと呼びます


2.受信帯域巾と感度の関係

データや音声の通信には伝送速度や変調度により必要なバンド巾が必要です

伝送速度が速くなりますと 必要な帯域も広くなります

帯域が広くなりますと機器内部で発生する熱雑音量も増えてきて C/Nが悪くなり

感度は劣化していきます  ( 熱雑音は ジョンソン雑音、ナイキスト雑音とも呼ばれます )

可能な感度はまずこの帯域で制限を受けます

基礎熱雑音量  −174dBm/Hz   :帯域1Hz当りの絶対雑音量

帯域10KHzでは 10KHz÷1Hz=10000=40dB が増加すると計算されます

ノイズ絶対量は −174dBm+40dB=−134dBm となります

S/N=20dBとなる感度は −114dBmとなり

これが 10KHz帯域での感度の限界と成ります

帯域巾10MHzに於ける感度は更に30dBノイズが増えますので−86dBmが限界です

現実にはこれらに 受信機TOPアンプのNFでの劣化分、マージンが加わり更に悪くなります


3.トップのAMPのNF(ノイズフィギア)

受信機の最初のアンプに使用するトランジスタやFETの入力側で発生する雑音が

熱雑音に付加され感度は理想状態より劣化します

これをNF(ノイズフィギア)と呼びデバイスごとに値が異なります

通常トランジスタでは 1〜5程度です TOPアンプ用に作られたFETでは0.3〜1

程度で感度が変わってきます 測定器レベルではNFが良いほど感度も上がりますが

実用レベルでは外来自然雑音が支配しますので 期待ほどの差は出ません


他にも要素は有りますが 大きくは上記3つが支配的です


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