マスキシステム(有)

     中電力パワーアンプ        戻る


+20dBm〜5W程度までの広帯域RFパワーアンプの設計手法

回路構成は シングルアンプとします


40MHz〜100MHz   2W−AMP


設計手順

@ 電源電圧 電流設定

  Aクラスの場合 出力電力効率は最大でも50%です マージンを含め決定します

  よって 取り出したいRF最大電力の2倍以上のDC電力を供給します

  予め加えているDC消費電力により RF信号の供給能力が決まります

  電源電圧 30Vで 最大出力10Wのアンプを設計するには

  I = 10 x 2 ÷ 30 = 0.67A

  この値の電流以上が流れる様 ゲート(ベース)のバイアス電圧を決定します


A 負荷抵抗値の決定

  デバイス側から見た 負荷側のインピーダンス(抵抗値)を決めます

  決定方法

  DC供給がチョークコイルや共振回路の場合は DC電圧を中心に 0v〜DCv x2

  までピーク電圧が振幅しますので 高周波電圧の実効値は その電圧に

  ルート2値( ÷1.414)となります

  例 DC電圧=25v  所要MAXパワー 10w  時

  DC供給電力は効率50%なので 供給能力20wで計算します
  
  RF電圧実効値 = 25÷1.414 =17.7v

  トータル負荷抵抗値 = E x E / P = 17.7 x 17.7 / 20
               = 15.6 Ω

  これを 内部抵抗と実負荷抵抗に振り分けます

  最大効率条件は デバイスの内部抵抗と負荷抵抗が 1:1 の時です

  実負荷抵抗を 7.8 /2 = 7.85Ω  とします


B 正規負荷 50Ωへの変換

  デバイスの出力インピーダンスは通常 純抵抗値+並列容量 です

  L、Cや伝送線路 の組み合わせで 50Ωに変換しますが

  広帯域の場合は 小分けに移動させないと 広帯域に出来ません

  1段当たり おおよそ 1.5倍位の変換が目安でしょうか

  変換率が大きい場合 広帯域化には 12.5Ω:50Ωの1:4バランが使えます

  10W以上のアンプの作成時は 12.5Ωより低い負荷抵抗となり 変換比が大きく

  なり 広帯域化が難しくなりますので プッシュプル構成にします (大電力アンプ参照)


C 入力側マッチング

  入力側のマッチングはインピーダンスも低く、浮遊容量が大きいのが普通で

  結構大変です LCでのインピーダンス変換は 出力側と同様 1段当たり 

  1.5倍程度を目安に段数を決めます

  勿論 入力側もバランの使用が設計が容易となります


D 電源電圧の考察

  所要パワーが大きくなるほど デバイス接続部から見た負荷のインピーダンスは

  小さくしないと必要パワーが取り出せません

  いくら小さくしても 出力端子には50Ωまで変換して持ち上げる必要が有ります

  下げたインピーダンスを 広帯域で持ち上げるのはかなり大変です

  大きい出力を取り出すのに 出力インピーダンスを下げずに済ますには

  電源電圧を高くすることで回避出来ます

  又 プッシュプル構成にすることでも インピーダンスを下げなくて済みます


E 目的性能確認後のチェック項目

  大きい電力でのアンプは 発振し易く 発振すると予期せぬ大電力信号が出力され

  接続している機器を壊したり 自身のデバイスが破壊されたりします

  条件を変えて 発振しないことの確認が必要です

  A. 電源電圧 0V 〜 基準電圧+α を変えて不具合を起こさないか確認

  B. 出力端子 オープン/ショート さらに 容量負荷(バリコン)による可変

  C. 入力信号の有り無し 及び レベル変更 

         上記の 組み合わせも含め念入りに調査します


                         戻る