飯田線旅行・乗車編3 最終更新日:2006/10/24

魅力発見・飯田線


乗車編3

●トロッコファミリー号に乗ろう

 現在の飯田線での観光列車として、豊橋〜飯田間の特急「伊那路」とともに2本柱の一つとされているのが「トロッコファミリー」号です。俗にトロッコ車と呼ばれる窓のない遊覧客車を連結し、沿線の清涼な空気と視界一杯の展望が堪能できることのできる列車です。運転は観光シーズン中の週末や夏休み期間に限られていますが、豊橋〜中部天竜駅間を1日1往復のんびりと走ります。
※2006(平成18)年5月を最後に、「トロッコファミリー号」の運転は行われなくなりました。本項は参考としてご覧ください。

▼Q.「トロッコ列車」とはどのような列車ですか?
▼Q.「トロッコファミリー号」はいつ、どこを走っていますか?
▼Q.車窓展望以外にも楽しめることはありますか?
▼Q.窓がないと雨の日に困りませんか?
▼Q.中部天竜まで行かずに途中で降りてもいいのですか?
▼Q.座席指定券はどのようにして手に入れたらいいですか?
▼Q.豊橋到着の時刻がもう少し早ければいいのですが?
▼Q.そのほか注意することはありますか
▼Q.豊橋〜中部天竜間以外の区間は走らないのですか?

▼Q.「トロッコ列車」とはどのような列車ですか?

▼窓のないオープン構造の車両が連結された列車です。

 オープン構造の車体を持った遊覧客車が連結された列車を俗に「トロッコ列車」と呼びます。もともとは木材を輸送するための無蓋貨車に簡易な屋根と椅子を取り付け、冒険気分で線路沿いの自然を探勝するための列車として国鉄時代の1984(昭和59)年、四万十川沿いに走る予土線(愛媛〜高知県)で運転開始されたものがブームの発端となっています。

 元が貨車ですから、旅客車とは比べ物にならない固い乗り心地ではありましたが、窓のない車体から見る壮大な展望や外気と一体となった清涼感とともに、これまでの鉄道車両では味わえない新鮮な体験ができる列車として、大変な好評を呼びました。

 この成功を期に各地のローカル線でも、観光の目玉として続々と「トロッコ列車」が運転されるようになり、また簡素な無蓋貨車に始まった車両も需要の拡大とともに次々と大型化され、中には一般の旅客車両に比べても遜色のないものまで登場しています。

「トロッコファミリー号」に使われるオハフ17形客車

▲「トロッコファミリー号」に使われるオハフ17形客車。
荷物車を改造した大型トロッコ車両。
【伊那松島運輸区・2003/10/04撮影】

▼Q.「トロッコファミリー号」はいつ、どこを走っていますか?

▼行楽シーズンに豊橋〜中部天竜間を1日1往復します。

 「トロッコファミリー号」は行楽シーズンの週末や夏休みなどの多客期に、飯田線の豊橋駅から「佐久間レールパーク」の最寄り駅である中部天竜駅までの62.4kmを1日1往復走る臨時列車です。停車駅が少ない事から「快速列車」扱いではありますが、実際はトロッコ車両の乗り心地や車窓の探勝も考え、普通列車以下のスピードでゆっくりと走ります。

 この沿線、とりわけ湯谷温泉〜中部天竜間では豊川の支流である宇連川(通称板敷川)や天竜川支流の大千瀬川に沿って走行するなど、風光明媚な車窓風景で知られる区間ですので、「トロッコ列車」に乗車するには絶好の区間です。全区間乗車の場合、乗車時間が片道2時間余りと長いので、トロッコ車両のテーブルに飲食物を開けゆったりと旅気分を味わうのもまた格別です。

 なおこの「トロッコファミリー号」は全座席が指定席となっています。乗車の場合は乗車券のほかに座席指定券(大人510円、小人250円)が必要となります。詳しくは後述します。

「トロッコファミリー」号停車駅と時刻(2005年運転時)

8521レ

9:47→

10:00→

10:33→

10:53→

11:07→

11:15→

12:05着

豊橋

豊川

新城

本長篠

湯谷温泉

三河槙原

中部天竜

8522レ

16:46着

←16:32

←15:57

←15:19

←15:07

←15:00

←14:18

「トロッコファミリー」号運転日(2005年夏〜秋期運転分)

7月

23243031

8月

1〜16毎日・20212728

9月

171819232425

10月

8910

板敷川を見ながら走るトロッコファミリー号

▲板敷川を見ながら走るトロッコファミリー号
【湯谷温泉〜三河槙原間・1996/07/21撮影】

外気に直接触れる清涼感と広大な展望がトロッコ列車の醍醐味

▲外気に直接触れる清涼感と広大な展望がトロッコ列車の醍醐味
【湯谷温泉〜三河槙原間・1996/03/23撮影】

▼Q.車窓展望以外にも楽しめることはありますか?

▼沿線の人々とも心の通う列車です。

・トロッコ列車から車窓を眺めますと、普段の電車の時よりも子供連れなど多くの人が列車を見つめ、手を振っていたりします。手を振ったり応えたり、見知らぬ人同士のコミュニケーションはトロッコ列車ならではの楽しさと言えます。

・真夏の暑い日でもトンネルの中の涼しさは格別です。トンネルの長さによっても涼しさは異なりますので、さまざまな気温を体感しながら旅をするのも、なかなか他ではできない体験です。

・「トロッコファミリー号」の牽引には、2形式3両の電気機関車のうちいずれか1両があたりますが、どれも製造後半世紀またはそれ以上という「博物館入り」クラスの貴重な車両ばかりです。旧型車輌の保存となると「静態保存」と呼ばれる非可動状態にされてしまうことの多い現状において、「動態保存」状態で営業される「トロッコファミリー号」は、まさに「走る文化財」の一面も持ち合わせているわけです。

EF58形電気機関車

▲「トロッコファミリー号」牽引に使われるEF58形電気機関車。
【伊那松島運輸区・2003/10/04撮影】

▼Q.窓がないと雨の日に困りませんか?

▼トロッコ車とは別に通常の客車も連結しています。

 「トロッコファミリー号」は窓のない開放的な客席が魅力ではありますが、それがゆえに小雨程度ならともかく本降りの雨ともなると、客席にも容赦なく雨が降り注ぎます。そんな風雨にもたじろがない猛者はともかく、ふつうの人はしっかりと窓のある車両に逃げ出したくなるに違いありません。

 上に掲載の写真を見てお分かりの通り、「トロッコファミリー」号は通常、電気機関車を先頭に一般客車2両・トロッコ車両2両の合計5両編成で運転されています。トロッコ車両での乗車に限界を感じたなら、いつでも自由に一般客車に乗換ができるシステムです。

 「あれ?でも指定席なのだから勝手に席を変わる訳にはいかないはずでは…?」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、ここが心配無用なところが「トロッコファミリー号」の大きな特徴です。4両の客車は1〜4号車ではなく1・2・1・2号車と、トロッコと一般客車で同一号車が2両ずつ存在します。つまり指定された席番がトロッコと一般客車双方に存在するわけで、これが1枚の座席指定券でも両客車の座席を行き来できる秘密となります。

 極端な話、豊橋〜中部天竜の全区間を一般客車で乗り通しても一向に構わない訳でして、実際行きの列車ではトロッコ車で大ハリキリの家族連れが、帰りは一般客車でぐったりというというのも良く見る光景ではあります。一般客車は冷暖房も完備(トイレ付)ですので、トロッコ車での暑さ寒さからの避難にも有効です。ただしトロッコ車同様一般客車も全車禁煙ですので、喫煙は駅での長時間停車時を利用するしかありません。

 ちなみに上下列車とも豊橋から豊川までの間は、複線区間のため高速ですれ違う列車があるなどの理由から、トロッコ車には乗車できず一般客車のみの乗車となります。

トロッコ車と同一塗色に揃えた一般客車を連結

▲トロッコ車と同一塗色に揃えた一般客車を連結
【三河槙原駅・1996/03/23撮影】

下り列車では一般客車が前方に連結される

▲下り列車では一般客車が前方に連結される
【大海〜鳥居間・1996/03/23撮影】

▼Q.中部天竜まで行かずに途中で降りてもいいのですか?

▼もちろん途中駅での下車・乗車も構いません

 豊橋〜中部天竜間の往復と聞くと、あたかもツアーとして豊橋→中部天竜→豊橋と全区間乗る事が標準であると思われる方もいるかもしれませんが、乗車区間に適用される座席指定券・乗車券さえあれば、どの停車駅から乗車してもどの停車駅で下車しても構いません。また当然ながら往復で乗る義務もありませんので、往路だけ・復路だけの利用も可能です。

 例えば豊川の人が湯谷温泉へ行く場合でも、鳳来寺山を降りて本長篠に着いた人が豊橋へ戻る場合でも、「トロッコファミリー号」は行楽地への往復に際して有効な選択肢として使う事ができるでしょう。特に豊川や新城など途中駅から乗車する人にとっては、リーズナブルな値段で指定席があらかじめ確保できるのも普通電車にはない魅力でしょう。

 ただしトロッコの車窓から渓谷沿いの風景を堪能できる区間は、湯谷温泉より先(中部天竜方)に限られてしまいますので、それ以前に降りてしまうと「車窓からの渓谷美」がほとんど見られないことになってしまいます。初めて「トロッコ乗車」を目的に出掛ける方は、少なくとも三河槙原までか終点の中部天竜まで乗車される事をお勧めします。

鳳来寺

▲途中下車で鳳来寺へ行くことももちろん可能
【2002/11/23撮影】

各停車駅情報

▼豊橋駅

▼豊川駅

▼新城駅

▼本長篠駅

▼湯谷温泉駅

▼三河槙原駅

▼中部天竜駅

▼Q.座席指定券はどのようにして手に入れたらいいですか?

▼全国の駅のみどりの窓口で1ヶ月前から購入できます。

 「トロッコファミリー号」に乗車するためには乗車券のほかに乗車人数分の座席指定券(大人510円、小人250円)が必要となりますが、これは乗車予定日の1ヶ月前から、全国の駅のみどりの窓口(またはJR指定席券の発行を行なう旅行会社)で購入する事が出来ます。

 「1ヶ月前」という言葉ですと曖昧に感じますが、例えば8月15日に乗車する場合ですと前月7月の同一日、すなわち7月15日が販売開始日となります。また例えば7月31日のように前月に同一日(6月31日)が存在しない場合は、繰り下がって7月1日が発売日となります。

 もちろん販売開始日に買わなければいけないわけではなく、空席がある限りは当日発車前まで買うことができますが、とりわけ混雑期に大人数のグループで乗車する場合では満席に近付くほど、座席がまとまらずにバラバラとなる確率が高くなりますので、可能な限りのお早めの入手をお勧めします。

▲レンゲ畑と「トロッコファミリー号」
【野田城〜新城間・2005/05/03撮影】

▼Q.豊橋到着の時刻がもう少し早ければいいのですが?

▼上り列車は新城と豊川で特急・普通列車を先に通します。

 往路に比べて復路は少しでも早く着かないかと気もあせりがちなものですが、上り「トロッコファミリー号」では本長篠から豊橋へ着くのにおよそ1時間半も掛かっています。そのため特急「伊那路」の33分に対してはもちろんのこと、普通電車の1時間前後に比べてもずいぶんとゆっくりに感じます。これは新城駅や豊川駅の長時間停車で、後から来る特急列車や始発の普通列車を先に通しているからでもあります。お急ぎの場合は新城以降の駅で乗り換えることにより、豊橋方面へ多少早く到着できます。

 例えば新城で「トロッコファミリー号」から特急「伊那路2号」に乗り換えると36分、その後の始発普通列車でも22分も早く豊橋に到着することができます(この場合の「伊那路」の特急料金は630円)。同様に豊川で始発の普通列車(船町・下地停車の各駅停車)に乗り換えても、わずか4分ですが先に到着することができます。

 実際混雑していた「トロッコファミリー号」がこの新城での長時間停車を境にガランとしてしまうこともしばしばで、逆に時間にとらわれずのんびりしたい人は、すいた車内で悠々とするなど住み分けがなされています。

上り「トロッコファミリー」号新城付近時刻

中部天竜

新城

豊川

豊橋

トロッコ

14:18発→

15:40着

伊那路2号

15:01発→

15:48発→

16:01着→

16:10着

普通546M

15:52発→

16:10着→

16:24着

トロッコ

15:57発→

16:24着

普通440M

16:28発→

16:42着

トロッコ

16:32発→

16:46着

▼Q.そのほか注意することはありますか

・「トロッコファミリー号」は現在では車内販売の類いはありません。食料や飲料は乗車前に買い求めておきましょう。

・トロッコ車はオープン構造の客室ですので、特にトンネルに入る時や鉄橋を渡る時などに思わぬ突風が吹き込むことがあります。帽子など飛ばされやすいものはしっかり身に付けましょう。また切符などの紙類や軽いお菓子、残り少なくなった缶飲料なども吹き飛ばされやすいので注意が必要です。

・現在のトロッコ車は荷物車から改造された車両で、通常の客車より幅が狭くなっておりホームとの隙間が大きくなっています。特にお子さまをホームに降ろす際には目を離さぬよう注意した方がいいでしょう。

・機関車のブレーキ(制輪子)・架線などから発せられた鉄粉や空気中の花粉などにより、稀に目に不快感が生じる場合があります。特に豊橋行(下り勾配が多く、トロッコ車と機関車が近い)に裸眼・前向きに乗車している場合は要注意で、違和感を感じたら後ろ向きの席に代わるか、一般客車に乗り換えることをお勧めします。

車窓風景はさまざまに変化する

▲車窓風景はさまざまに変化する
【湯谷温泉〜三河槙原間・1996/03/23撮影】

▼Q.豊橋〜中部天竜間以外の区間は走らないのですか?

▼年により貸切列車として運転される時もあります。

 飯田線内ではもっぱら豊橋〜中部天竜間に運転される「トロッコファミリー号」ですが、ごく稀に飯田線の北部(飯田を中心とした長野県内)で運転されることもあります。名称も通常運転の列車と区別する必要があることから、現在では「飯田トロッコ号」と呼ばれています。

 飯田線北部の運転は1989(平成元)年より開始され、2003(平成15)年までの間に平均して年間で2日間ほど行なわれています。ただしまったく運転されない年もあるなど、定期的な運転とは言いがたいのが事実です。

 当初は通常の「トロッコファミリー号」と同様に「臨時列車」という形で運転されていましたが、2002年以降はJR東海ツアーズの主催するツアー形式となり、全国どこでも指定席が買えるというわけにはいかなくなりました。また2003年の運転を最後にここしばらく運転実績がないので、今後の運転があるかどうかは今のところ定かではありません。

伊那大島で停車中のトロッコ

▲飯田線北部のトロッコ列車は身軽な編成
【伊那大島駅・2003/10/05撮影】

●「トロッコファミリー号」の誕生まで

 本編の記述は[飯田線ヒストリー]内に[「トロッコファミリー号」の変遷]を設け、内容拡張の上で掲載中です。


●次は 乗車編4・車窓の見どころ です●

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