飯田線旅行相談室・総論1 最終更新日:2005/07/01

魅力発見・飯田線


総論1

●飯田線の魅力と楽しみ方

▼Q.飯田線とは、どのような路線でしょうか?
▼Q.一度全線を乗り通してみたいのですけど、退屈しませんか?
▼Q.車窓風景が良いと聞いたのですが、他線と比べてどうなんでしょうか


(以下は「総論2」に続きます)


▼Q.飯田線とは、どのような路線でしょうか

■愛知県内の「豊橋駅」と長野県内の「辰野駅」を結ぶ、全長195.7kmの路線です。

 太平洋沿いの愛知県豊橋市から本州のほぼ中央に位置する長野県辰野町まで、本州を横断するような形で進みます。その距離およそ200km足らずと、ローカル線の中では異例の長さを誇る路線です。全線を乗り通すのに普通列車ですと6時間以上はかかります。

 ちなみに辰野駅が終点というのは歴史的経緯によるものですが、現在ではほとんどの列車が中央本線の岡谷方面へと乗り入れしていますので、実質上は途中駅の一つという位置付けがふさわしくなっています。

■JR東海(東海旅客鉄道)の運営する路線です。

 1987(昭和62)年まで「国鉄飯田線」だったものが、分割民営化でJR東海に引き継がれ「JR飯田線」となりました。JR線ですので全国各地から飯田線内へ旅行の際は、行き帰りの乗車券も含めて通算で全国のJR駅出札窓口で購入することができます。また「青春18きっぷ」など、JR全線を対象とした企画乗車券での乗車も可能です。

■もともとは私鉄線として、40年かかって全通した路線です。
 そのため、駅の数が非常に多くなっています。

 飯田線は旧国鉄線ではありますが、建設された当時は4つの鉄道会社により運営される私鉄電車でした。1897年に豊橋〜豊川間が開通したのを最初に、最後の大嵐〜小和田間が完成する1937年まで40年もの間、小刻みに建設されてきた路線です。もともと私鉄線で建設されたため、駅間が都会の私鉄線なみに短く、結果として駅数が非常に多いのが特徴です。

■標高差700m以上の、険しい地形を縫って線路が敷設された路線です。

 本州中部を川に沿って遡る形で線路が敷かれていますので、必然的に山が険しく、地形条件の厳しさは他に類を見ません。その結果として車窓には断崖絶壁や渓谷が展開し、旅情を求めて旅をする人々にとっては人気の路線となっています。

■豊橋駅付近の一部区間を除いては、ほとんどが単線区間の路線です。

 ローカル線の常で幹線ほどの乗客数が見込めないこともあり、市街地を走る豊橋〜豊川間の8.7kmのみが複線区間であるほかは、豊川から終点辰野まですべての区間は単線です。当然、上下の列車は行き違いのできる駅で交換をしながら走りますので、乗車中は数分の「行き違い停車」から逃れることはできません。

■特急列車1日2往復のほかは、ほとんどが普通列車の路線です。

 飯田線でもかつては全線走破や新宿・名古屋方面への直通急行列車が何往復も走っていた時代がありました。しかし現在は特急「伊那路」号が豊橋〜飯田間を1日2往復走る以外は、ほとんどが普通列車となっています。一部快速列車もありますが、現存する快速列車はどれも停車駅が多く、所要時間でも普通列車と大差ありません。

以上をまとめると、
・長距離かつ長時間、ほとんどが各駅停車
・駅が多く、かつ駅間隔が短い
・地形が険しく風光明美

これらが飯田線の特徴といってもいいでしょう。

豊橋駅写真

▲飯田線の起点、豊橋駅(愛知県豊橋市)
【2003/11/02撮影】

辰野駅写真

▲飯田線の終点、辰野駅(長野県上伊那郡辰野町)
【2003/06/22撮影】

▲飯田線は急峻な山岳地帯を単線線路で縫うように走る。
鳳来峡を行く特急「伊那路」号
【湯谷温泉〜三河槙原間・1996/07/21撮影】

▲山間の思いもかけぬところに駅があるのも飯田線の醍醐味
【田本駅・2002/05/05撮影】


▼Q.一度全線を乗り通してみたいのですけど、退屈しませんか?

▼全線の「イッキ乗り」はお薦めしません。 

 「初めての飯田線」で注意すること、それは全線の「イッキ乗り」〜すなわち途中下車をせずに1本の列車で全区間を乗り通すこと〜は、ぜひとも避けた方がいい、ということです。

 ただでさえ長距離な路線であるために、少しでも短い時間で駆け抜けたい気持ちはもちろん分かりますが、電車のシート上に同じ姿勢で座り続けていると、どんなに素晴らしい車窓風景を見てはいてもやがては体力が消耗し、疲労が勝って集中力がなくなります。

 飯田線での6時間連続乗車はまさに「旅を楽しむ」範疇を越えてしまっており、せっかく乗車しても我慢と忍耐、そして退屈の印象しか残らなくなってしまう恐れがあります。

 せっかくの飯田線乗車が「我慢大会」となってしまうのはあまりにももったいない事で、ほんの2〜3駅の途中下車でも気分や体力はリフレッシュするものです。新鮮な気持ちで車窓を楽しむためにも、時間には余裕を持って旅をしていただきたいと思います。

 一日で「飯田線を全線乗ったうえで篠ノ井線も、できれば大糸線も全線乗車したい」などと欲張った行程を組むと、結局「乗りっぱなし→疲れた→もう行きたくない」となってしまう人が実に多いのです。  

▲飯田線はあくまでも近郊電車、長時間の乗り通しには向きません。
【湯谷温泉〜三河槙原間・1996/07/21撮影】

▼Q.車窓風景が良いと聞いたのですが、他線と比べてどうなんでしょうか

▼では車窓風景が良い、とは

 具体的に車窓風景が良いとはどういう事でしょうか。ふつうローカル線はどの路線でも自然豊かなところを走っています。それでは飯田線ならではの魅力はと問われますと、私は次のように考えます。

■都市から峡谷まで多様性があり、かつメリハリのある車窓展開
 どれだけ素晴らしい景色でも、何時間も同じような風景の繰り返しでは少々飽きが来てしまいます。飯田線は都市、田園地帯、山里、峡谷、それらの風景が少しずつ形を変えながら繰り返されます。風景にアクセントがあって、ドラマのような展開が楽しめます。

■手つかずの自然のままの峡谷美が味わえる中・南部区間
 地方といえども大規模な開発から逃れられない昨今ですが、飯田線沿線は生活の場としての中心を道路沿いに譲ったため、景観的にも荒らされることの比較的少ない手付かずの自然や素朴な山里の光景を車窓から楽しめます。

 とりわけ飯田線中南部では、宇連川や天竜川などの峡谷沿いに線路が敷かれているため、車内に居ながらにして大自然の景観が楽しめます。

■車窓両側に日本アルプスがそびえる北部区間
 車窓からアルプスが望める路線でしたら他にもありますが、両側を中央アルプスと南アルプスに挟まれたというダイナミックな景観は飯田線ならではのものでしょう。

■車窓を鑑賞するのにちょうどいい電車のスピード
 新幹線に乗っていて、あまりの風景の流れの速さにちょっと疲れを感じませんか。飯田線のスピードは線路わきの木や草花、道端から手を振る子供の顔に至るまで、視線を落としてゆっくり見られる穏やかな速度です。日常の疲れから解放されるのには、このくらいの穏やかさが最適なのではないでしょうか。

■南北に長く標高差もあり、季節感も多彩
 南北に約200km、標高差720mという起終点の気候条件の違いやそれにともなう季節感の違いも車窓の魅力に輪をかけます。例えば4月中なら沿線のどこかで桜が満開の地域に出会えますし、咲く花や木々の色など、乗り進んで行くうちに少しずつ変わっていくのがわかります。

→これらについての具体的な内容は次々項「乗車編」をご覧下さい。

▲山麓を走る(田切〜伊那福岡間)
【1995/02/18撮影】

▲峡谷を走る(鳥居〜長篠城間)
【2000/05/05撮影】

▲街を走る(伊那市〜伊那北間)
【1999/05/04撮影】


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