小和田駅探索 最終更新日:2006/10/24

魅力発見・飯田線

こ わ だ

■駅前秘境倶楽部・小和田

→古色蒼然とした小和田駅舎
【撮影:2001/05/01】

小和田駅舎写真

■初めての方へ:ここはウェブサイト[▼魅力発見・飯田線]内のコンテンツの一つです。
全体のインデックスは上記リンクよりお進みください。

駅前まで自動車の乗り入れすらできない、秘境中の秘境として知られている小和田駅。飯田線ファンや秘境の地を愛する旅行ファンの方はもちろん、1993(平成5)年6月の「皇太子殿下・小和田雅子様御成婚」の際には、その駅名からマスコミに注目され、大勢の人が訪れるなど大変なブームを呼びました。

 現在でこそ「道路の通じない」ことで有名な小和田ですが、駅開設当時からこのような孤立した地域であったわけではなく、駅前集落や天竜川に沿って南北に通じる道路、また天竜川対岸の富山村佐太集落に通じる橋までありました。それが昭和31年に完成された、天竜川下流の佐久間ダム建設にともない、駅前一帯はダム湖と化して、集落や道路のほとんどが水没することになり、ほぼ無人地帯となったまま現在に至っているのです。

 このように現在では駅周囲に住む人はほとんどなく、駅の利用者も少ないはずなのですが、意外にも小和田の駅周辺を歩いていると、地元の方に遭うことがしばしばあります。山の手入れや歩道の維持補修など、地元の方も駅やこの周囲を大切にしているようです。

 なおこの駅の利用客には、地元の方や旅行客のほかに、小和田・塩沢地区に郵便物を配達する職員や、JRの保線作業員も見掛けることがあります。現在では使用されていない貨物ホームの上に保線詰所が建設されているなど、保線作業上の拠点駅でもあります。

◆小和田駅のアイテム
┃
┣木造駅舎┳旧駅務部分[1984-2無人化]
┃    ┗待合室┳掲示物(時刻表、地図、結婚式イベント写真、花嫁号ヘッドマーク)
┃        ┣駅ノート
┃        ┗カード式公衆電話(撤去)
┣ホーム(相対式2面2線)┯構内踏切、三県分境の碑、ホーム上の桜
┃            └旧ホーム上待合室2棟[1996-12頃解体]
┣旧貨物ホーム跡━保線詰所
┃ 
┗駅前┯┳木造便所(男女共用汲み取り式)
   │┗飲料自動販売機[1993設置、1998頃停止]
   ├─木造あずまや(愛の椅子)[1993設置]
   └─結婚式会場[1993設置]

小和田駅周辺地図

   

■駅構内

 駅および駅構内に関しての記述や、1993(平成5)年のいわゆる「御成婚ブーム」の様子は、当ページ内[▼飯田線各駅停車・小和田駅]に分割掲載しましたので、そちらをご参照くださいませ。

臨時増結4連の快速電車

▲小和田駅に到着した臨時増結4連の快速電車
【1993/05/05撮影】

■駅前

 駅舎を出てみましょう。駅前にはすぐトイレがありますが、水洗ではなく汲み取り式で、男女共用です。また「御成婚ブーム」の頃に設置された飲料自販機が置かれていますが、ここ数年は営業が停止されたままです。車が入れないことで有名な駅とあって、当然駅前広場の類はありません。駅を出たらすぐに下り坂が始まります。

 最初の下り坂の突き当たりに、まず木造のあずまやが建っています。例の「御成婚ブーム」に際し建てられたもので、1993(平成5)年5月2日の水窪町主催「ビオラコンサート」開催時に除幕式が行われました。

 中には「愛の椅子」と呼ばれる木製ベンチが置かれています。ブーム華やかなりし頃は、ここに座ると音楽がなる仕組みになっていたものですが、現在では切られているようです。

 あずまやの突き当たりを右折して、階段を天竜川の方に降りていきます。まず右側に木造の中廊下を持った建物が見えてきます。ここが例の「御成婚ブーム」に便乗して、一般公募の「結婚式イベント」が行われた、まさにその会場です。この施設はその結婚式で使われたあと、さまざまなイベントでステージとして利用されてきましたが、現在では少々荒れています。

 この階段はさらに右側に折れて坂道として下っていますが、よく見ると直進方向に、さらに天竜川の近く降りる階段があります。ここが小和田池神社へ至る道なのですが、詳細は後に触れます。

 この分岐位置に比較的大きな廃屋が見えますが、ここが昔の製茶工場だったところだそうです。表からは平屋に見えますが、裏に回ると二階建てとなっており、地形の関係で二階部分が正面からでは一階に見えます。廃屋にしては状態もそれほど悪くないのは、時々何らかの理由で建物が使われているためのようで、例の結婚式イベントでも、この建物が詰所代わりに使われていました。

 廃屋はこの一棟だけでなく、小和田池神社へ至る階段の左側にも見えますが、こちらの方は使うこともないと見えて、すでに荒れ果てております。

 現在でも人の住んでいる民家と言えば、この製茶工場前の坂道を降り、北側に10分あまりのところに一軒あるほかは、山道を標高差200mほど登った塩沢という集落までいかなければ存在しません。このあたりは次項「駅からの散策・塩沢集落方面」を参照願います。

▲稼動していた頃の飲料自販機
【1994/11/06撮影】

▲愛の椅子
【1993/05/05撮影】

▲駅前よりの展望、結婚式場建設前
【1993/05/05撮影】

■駅からの散策

◆小和田駅の周囲
┃
┣━━━▼門谷集落方面(未舗装歩道、途中行き止まり)
┗┳塩沢集落方面(舗装歩道、階段有、塩沢集落経由で天竜川林道へ)
 ┃ ┗高瀬橋方面(未舗装歩道、高瀬橋前で行き止まり)
 ┗━━小和田池神社方面(未舗装歩道、神社で行き止まり)
それでは駅から散策してみましょう。各方面へ延びる道のうち、実際に外界に通じている道は「塩沢集落」方面への道だけです。

■門谷集落方面

 小和田駅から伸びる各方面の道のうち、この道だけは駅舎の前からでなく、駅構内の南側にある貨物ホーム跡南端、つまりはトンネルの入口近くから始まっています。この道は他方面に比べて状態が悪く危険性も高いので、危険を感じたらすぐにでも引き返すよう、充分にご注意願います。

 かつては水窪町の門谷集落を越え、さらに大津峠を越えて現在の水窪町中心街まで続いていたという、小和田駅にとっても水窪にとっても動脈となる道だったのですが、現在では門谷集落へ行く以前に廃道状態となっており、全く当時の面影はありません。途中に廃車となった軽自動車が放置されており、かろうじて道路だった頃の面影が偲ばれますが、もちろんその前後はすでに自動車が通れる状態ではありません。

■小和田池神社方面

 先ほど記した製茶工場前の分岐を、そのまま直進方向に下ったところが道の入口です。こちらは道と言っても舗装されているわけでもなく、かろうじて「人の通った痕跡がある」という程度ですので、歩行には充分ご注意願います。

 天竜川に沿って下流方向(大嵐方)に歩くこと5分あまりで、小和田池神社へ到達します。神社と呼ぶにはあまりにも小さい、祠だけの境内であります。以前は天竜川河畔にあったものを、水没にともないここまで引き上げてきたものと言われています。

 この道は神社で終結していますので、あとは来た道を元通り駅前まで戻ることになります。1/25000や1/50000の地形図では、まだこの先に道があるように書かれていますけど、現状で歩ける状態ではありません。

■塩沢集落方面(1)

 製茶工場前の舗装坂道を道なりに降りて行くと、やがて天竜川の堤防上に到達します。このあたりにミゼットと呼ばれる三輪軽トラックの廃車体が放置されており、小和田に道が通じていた時代の面影を偲ばせています。

 天竜川に沿って北進してみましょう。駅前とはいえ完全に自然歩道の趣であり、簡易な舗装がなされているため、足場が悪いというわけではありません。途中川の支流と合流するたびに、やや上流への迂回を迫られるなど、あくまで地形本位の道であります。

 10分あまり川沿いを歩くと、頭上に一軒の民家が見えてきます。林業のMさんというお宅で、小和田駅の近くに残った唯一の民家と言われています。自宅入口前に、天竜川対岸との物資輸送を行うためのケーブルが敷かれていますが、このケーブル、私用のみならず、御成婚ブームで小和田駅が賑わった際にも、式場建設などの物資を輸送するために大活躍したそうです。

 さて道はこの民家の下で、上下に分かれています。下は道としては直進側なんですけど、舗装がなされておらず、人の歩いた形跡もずっと少なくなります。この道は現在では崩壊してしまっている吊り橋「高瀬橋」へ向かう方で、とりあえず先にそちらを見に行ってみましょう。橋のたもとまで、往復10分あまりで到達できます。

■高瀬橋方面

 それではMさん宅前で分岐する道を下に行ってみましょう。ここからは未舗装の道となり、しいたけ栽培地となっている民家前を越えると起伏も激しくなります。途中崖崩れ等による足場の悪い地点を越え5分ほど歩くと、「高瀬橋」と呼ばれる崩壊した吊橋が目の前に現れます。

 この橋、昭和30年頃の架設というところから、佐久間ダム建設にともなう従来道路の水没の代替として造られたものであることが想像されます。しかしもともと自動車の通れる道でもなく、また渡った先にも集落などがないことから、おそらく需要も少なかったのでしょう、昭和50年代から少しずつ崩壊が始まり、平成に入った頃にはすでに橋の中央に大穴が開いてしまいました。

 ちなみにこの橋の先ですけど、すでに道はつながっていません。一度道なき道を経由して、高瀬橋対岸まで出たことがあるのですけど、中井侍までの途中にコンクリート護岸された、橋のない水路があったり、大幅な崖崩れがあったりして、すでに道が復活する兆しはありませんでした。

 ということで、「高瀬橋」はとりあえず見るだけにとどめておいて、再び来た道を戻ります

高瀬橋

▲平成3年時点の高瀬橋。現在ではさらに崩壊が進んでいる
▼【1991/11/10撮影】

高瀬橋崩壊

■塩沢集落方面(1)

 さきほどの民家前の分岐点に戻り、今度は上に向かう舗装道路を登ります。一見その民家への私道に見えるのですが、ご心配無用で、民家に達して終わりでなく、その先塩沢集落や天竜川林道の方へもつながっています。

 といっても集落や林道までは容易な道のりではありません。舗装道路も終始舗装なわけでなく、崖に張り出した部分は金網の歩道になっていたり、川を越えるために吊橋を渡ったりもします。またここからは標高差も大きくなるため、急勾配や急階段も増え、いやでも歩くスピードはダウンします。天竜川も視界から消え去り、ひたすら周囲の光景も山また山と、いささか単調になってきます。

 こうした光景に展開が見られるのは、駅からで徒歩約40分、Mさん宅から30分くらいのところでしょうか。頭上に高圧送電線が見え、それを越えて振り返ると、見通しの良い丘の上に送電線の鉄塔が立っているのが見えます。距離的にも場所的にも、ここを休憩地点とすることをお薦めします。

 この丘からは、河内川対岸の途中集落やこれから目指す塩沢集落など、山麓にへばりつくような人の営みを一望することができます。山村のスケールの大きさに感動しつつ、なお元気を振り絞ってさらに道を登っていくことにします。

 鉄塔の丘を下って、再び今までの道に合流して歩きます。この場所からそう遠くない地点で、道は二手に分かれます。右上にひたすら登っていく道と、左側になだらかに続く道の2つです。初めてこの分岐に差し掛かると、はてどちらに行けば良いのだか…と途方に暮れそうですが、実はどちらの道を経由しても、集落のある天竜川林道に到達できます。ここでは景観的に展望の望める左側の道を先に行ってみることにしましょう。 

 ひたすら登り続けてきた道は、ここで等高線に沿ったようななだらかな道となり、下り勾配すら見られます。時折左側に谷あいの光景が広がり、崩落した高瀬橋が遠望できるところもあります。

 突然目の前に民家が現れ、道は民家の間を通る形で伸びています。ここが初めての時には非常に戸惑うものでしたが、事前に道の途中で出会った地元の方よりアドバイスされていたこともあって、そのまま敷地内を抜けて再び山を登るルートに続いていきました。

 民家のすぐ上で、農業用モノレールの踏切?(レールが横切っていて、そこを避けるために道が盛り上がっている)を越えますが、ここからはかなりきつめの勾配が続きます。歩いても歩いても、なかなか林道にはたどり着かず、少々絶望的な気持ちになるのですけど、鉄塔下の休憩地点から15〜20分後くらいに、ようやく林道のガードレールが現れます。

 

 

小和田名物、金網の歩道

▲塩沢集落付近から遠望する高瀬橋
【撮影:2003/05/03】

▲塩沢集落遠望(林道天竜川線より)
【撮影:2003/05/03】

■天竜川林道に到達

 こうして念願の天竜川林道に到達します。駅からの所要時間は、休憩時間別で45〜60分くらいといったところでしょうか。標高差は駅から約300mほどありますので、それなりの覚悟は最初から必要です。ちなみに林道側から来ると、この入口は少々分かりにくいかもしれません。

 この地点から林道を水窪側に歩くと、数分で「左上側の民家に上るための坂道」が見えてきます。この地点に、さきほど高圧鉄塔の近くで分岐した道の、もう一つの方の出口が見えてきます。こちらの方がおそらく距離は短いとは思われますが、その分傾斜はきついように思います。こちらから駅へ戻る際は、ひざを痛めないようご注意願います。

 さてここから小和田駅以外の方面へ歩くと、どのくらいかかることでしょう。私の経験値では「中井侍の三十三観音」まで約3時間、西山林道との合流地点まで約1時間半、その地点から水窪駅まで約3時間、といったところです。それから考えると、中井侍駅まで約3時間30分、水窪駅まで4時間30分〜5時間、大嵐駅まで西山林道を経由して約3時間といったところでしょうか。ただ徒歩の速さには個人差もありますし、また西山林道は場所によって完成しておらず、歩行にも危険が伴いますことをあらかじめご承知ください。

 

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