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Web版 中学学級指導大事典 U数学

2. 正負の数 赤と黒のゲーム

−ゲームによる算数・数学の学習(明治図書)星敬朔氏の追試−

(松岡宏之氏実践)



Webコンテンツ作成 堀部克之(TOSS中高東京サークル)

『日本教育技術方法体系 第15巻 中学学級指導大事典 U数学』をWebコンテンツにしました。


「ストップ!」
「エ〜ッ!最悪ー!!」
「イェーイ やった、やった」
「ストップ」の声がかかるたびに教室は騒然!
ゲームをやりながら、正負の数の加減法ができるという、星敬朔氏の「赤と黒」という、トランプゲームを追試した。
以下述べる。

準備するもの
1.グループ(4〜6人)
2.トランプ(グループに1組)。
 ○使用するカード:ジョーカー、4人なら1〜4まで、6人なら1〜6までといった4種類(スペード、ハート、ダイヤ、クローバー)のカード。
(例)
 ・4人・・・・・・1〜4+ジョーカー=4×4+1=17枚
 ・5人・・・・・・1〜5+ジョーカー=4×5+1=21枚
 ・6人・・・・・・1〜6+ジョーカー=4×6+1=25枚
3.ルールを書いたプリント(全員に)
4.得点集計表(各グループ1枚か全員)
 ・私は全員に集計表を渡し、記入させた。

(例)
トランプゲーム

氏名\回数

伊藤

得点

−8

−9

+1

14

−3

 

 

 

 

4位

4位

3位

3位

1位

4位

 

 

 

東海林

得点

12

12

−1

+6

−9

 

 

 

 

5位

3位

1位 

2位

2位

5位

 

 

 

金澤

得点

+8

13

−6 

−6

+1

 

 

 

 

2位

1位

4位

4位

3位

3位

 

 

 

熊谷

得点

13

11

−9

−6

−6

+9

 

 

 

 

1位

5位

5位

4位

4位

1位

 

 

 

中村

得点

−1

+7

+2

13

14

+2

 

 

 

 

3位

2位

2位

1位

5位

2位

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルール(5人グループの例)
1.21枚のカードを親が配る。
 ・1人は他の4人よりカードが1枚多くなる。そのものは、前回のゲームで、一番得点の低かった者と決める。
2.親は、前回トップだったものがなる。
 ・1回目はグループの中でジャンケンで決定。
3.ババ抜きの要領で、前回のゲームの順位の順番にカードを抜いていく。
4.親が、前回のゲームで一番得点の低かった者(=親がカードを配り終わったとき、他の者よりカードが1枚多い者)から、カードを抜いたときからゲーム開始。
5.同じカードを捨てるのではない。抜いてきたカードと、手持ちのカードが自分の得点になる。
6.黒カード(スペード、クローバー)がプラス点、赤カード(ハート、ダイヤ)がマイナス点になる。ジョーカーは0点。
7.自分がトップだと思ったときに「ストップ」をかけることができる。
8.「ストップ」宣言でゲームは終了する。
9.「ストップ」宣言は、カードを抜くか、カードが抜かれたかの操作が完了したときに限る(誰の操作であってもよい)。
10.「ストップ」宣言は、最低、1まわりしてからである。
11.「ストップ」宣言した者がトップでないとき(トップが同点含む)は、そのときの1番得点の低い物と宣言者の得点を交換する。
12.8のとき、1番得点の低いものが2人いた場合は、ノーカウントにして、もう1回最初からやり直す。

星氏の実践には、指示が書かれていない。
以下の追試の指示は、私の試案である。

今日は、トランプのゲームをします。

何のゲームをするの?ポーカーやろう。ひんみんやろう。などの声を聞きながら、ルールを書いた、プリントを配る。

指示1 ルールを説明します。説明後に質問をとります。

説明時間約3分。

指示2 グループをつくりなさい。(事前に決定しておく)。
指示3 カードを自分のグループとあうように区別しなさい。
指示4 カードを配り、先生がスタートをかけるまで待ちなさい。

机間巡視をし確認する。約5分かかる。
最初、1〜2回の「ストップ」は、教師からの指示がよい。

指示5 各グループでゲームを始めなさい。時間は10分間です。

各グループ自由にゲームが始まる。
「ストップ!」「エーッ、またマイナスだー、ひさんー」
「あれ、○○、俺より点数高いぞ、ウワー」「△△、交換だぞー」
ストップをかけたが自分よりも高い得点の者がいたために、ビリになってしまう者、なかなか宣言をしない慎重派など、さまざまである。
「よーし、よしよし!」(黒カードを抜いたとき)
「こんなのいらんよ、俺」抜かれた物はほくそえむ。ウッシッシッ。(赤カードを抜いたとき)
カードを抜いてきて、手持ちのカード枚数が増えても(加法)、得点が必ず高くなるとは限らない。
カードが抜かれて、手持ちのカード枚数が減っても(減法)得点が必ず低くなるとは限らない。
ゲームの中で生徒たちは、大変なことを体験しているのである。
今まで(小学校までは)、加法であれば、前の数(たされる数)より必ず大きくなり、減法であれば、前の数(ひかれる数)より必ず小さくなっていた。
その概念を、ゲームの中で、うち破っているのである。
だが、ゲームは、このままではおもしろくない。赤カードばかり持っている者が、だんだんと意欲を失ってくるのである。
そこで、次のルールを追加する。ゲームが始まってから10〜15分後である。

指示6 ルールの追加「ビリストップ」(板書する)
新しいルールを追加します。
自分の持ち札の得点が、最低だと思ったとき、「ビリストップ」と宣言します。
本当に最低点のときには、全員の得点のプラスとマイナスが入れ替わるのです。
(例)
ビリストップ
A君 +5→−5
B君 −3→+3
Cさん 0→ 0(板書する)
「ビリストップ」宣言者が最低点でないときは、その時点の最低点の者とカード交換し、プラス、マイナスをそのままにして計算する。
最低点者が2名いたときには、ノーカウントにして、ゲームを最初からやり直す。

この後に<ウラ返しでやる方法>のルールがある。1時間内のゲームでは、ビリストップ追加までで精一杯である。

−ふり返り−
もう計算ができるようなった。
先生も、トランプを使って計算させるなんてよく考えたな。先生は、えらい!

このふり返りをみて、ふき出してしまった。



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