偏差値34(駿台6月実施)だったのに
立教大学経済学部経済学科合格
[大妻高等学校 2005年2月]
この生徒は週6日の部活動に5年半にわたって邁進し、全然勉強していませんでした。 高校3年の6月実施の駿台予備校の実力試験は、 3教科合計の偏差値が34という惨憺たる結果でした。 校内順位は英語がビリから2番、世界史もビリから2番、得意科目の国語はビリから3番でした。

当初、「できれば、早慶に、悪くとも東京6大学に、最悪でもMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)には進学したい」と 言っていたので、てっきり、それなりの学力が備わっているのかと思いきや、 中学3年生レベルの単語で知らないのが多数あったのでした。

しかも、この生徒が本格的に受験勉強を始めたのは、8月に入ってからでした。 クラブ活動が7月の下旬まで続いていたからです。 クラブ活動ではそれなりの要職にあり、疾風怒涛のクラブ活動娘だったのです (本人の希望でクラブの名前もイニシャルも伏せられています。この生徒の影響で、イニシャル掲載拒否が当校では流行っています。ちょっと困っています)。

では、偏差値34の生徒にどのような指導を行なえば、半年で、立教大学経済学部経済学科(偏差値66)に合格するのかということですよね。

まず、英語については、一定レベル以上の入試問題の長文を暗唱できるようにしました。最終的に暗唱できるようにしたのは、20本くらいです。

5本暗唱できれば、ちょっとだけ世界が変わって見える、10本暗唱できるようになれば、かなり世界が変わって見える理由を説明して、 暗唱できるようにしてもらいました。

もちろん、従来の、ありきたりな指導法では、容易に暗唱できるようになるわけではありません。

そこで、辞書を引く手間を省くために、長文ごとに詳細な単語リストを作成し、 かつ、文法事項についても、つっかかりそうな部分の解説を施したプリントを作成しました。 こうしたプリントを見ながらであれば、文法事項を理解しながら、自分で訳出できます。 自分の頭を使って英文を訳すと、長期記憶につながります。

つぎに、そのようにして理解した英文を憶えなくてはなりません。 そこで、憶えやすいように工夫した空所補充のプリントや語順整序のプリントを作成しました。 これは、実物を見て、実際に体験してもらわないと、わかってもらえないようです。

このようにして、まずは、短期間で大学入試の過去問の英文を20題、憶えてもらいました。

ところで、一般に、英語教師は、文脈(文の前後関係)ならびに語源に基づいて単語の意味が推測できるようにならなければならないと、よく言います。 しかし、私自身の記憶ならびに生徒たちに聴き取り調査した結果、少なからずの教師は単語の意味が推測できるようにならなくてはならないとは言うものの、 授業で推測の仕方を習ったことはないことが判明しました。千人規模の聴き取り調査ではないので、 高校の英語教師のなかには、高度な意味の推測の仕方を十全に指導している方もいらっしゃるでしょうが、いたとしても、ごく少数でしょう。

当校では、概ね、つぎのように指導しています。

解説を行なう前に、当該の英文のコピーに、たとえば、まったく未知の単語にはオレンジで、 見たことはあるが意味が思い出せない単語には青で印をつけてもらいます。 これを見ながら、未知の単語や意味の思い出せない単語の前後にある語句を指摘して、 そこからどういうことが推測できるか、あるいは定冠詞の有無や複数形か否かという点から、 どういう情報が得られるかなどのことがらを指導します。 また、名詞の場合、その直前にある前置詞から、どの程度にまで意味が限定できるかということも指導します。 こうしたことは、意味の推測のできない人には、なかなか理解できることではないようです。

単語の意味の推測方法については、いずれ、このサイト内で、詳細に亙る解説を掲載したいと考えています。

最終的には、偏差値34から、わずかに半年の受験勉強で、立教大学経済学部経済学科に合格しました。 いずれにしても、無駄を省きに省くと、半年で東京六大学に合格することは可能です。 ただ、早稲田大学商学部に0.052点差で及ばなかったことだけは残念です。

この生徒は、大学進学後も、当校に通い続けています。大学入学までにフランス語を1年分、学習し、 それで浮いた時間を他教科の学習にまわすようにしました。 フランス語の負担がゼロの状態で、前期の授業を受けた結果、前期試験の成績は、オールSでした (立教大学での成績評定は、S評価[90点から100点]、A評価[80点から89点]、 B評価[70点から79点]、C評価[60点から69点]、ならびに「不可」となっています)。

その後、大学1年生の3月にTOEICを受験したところ、スコアは584でした。 大学1年生の平均スコアが350程度であることを考えると、 大した成績ですが、大学での英語の授業(週4コマ)とフランス語(フランス語を学習すると他の言語の場合よりも英語力がつきます) 以外にこの生徒がしたのは、当校でのアルバイトとして、英語のプリントの採点だけでした。 4か月後の大学2年生の7月には625というスコアを取得しました。 一般に、一流企業就職に必要とされる600を超えました。 アルバイトで採点をしていても、これほどまでに英語力がついてしまうのです。