化学の偏差値28から日本薬科大学薬学部合格
[城西大学附属城西高等学校 2004年2月]
高校3年生の6月実施の代々木ゼミナールの実力試験で、 偏差値が英語36、数学32、化学28という惨憺たる成績でした。 校内順位は英語がビリから15番、数学がビリから2番、化学が堂々のビリで、 理系3教科で校内順位がビリでした。

8月の時点でつぎのような状態でした。 まず、中学3年で習う数学の平方完成ができない。 中学2年生で習う原子と分子の厳密な区別がつかない。 そんな状態でした。

「もしかして、酸化銀のことを分子だと思っていない?」と おそるおそる訊いたところ、「えっ、違うんですか?」という答えが返って きたときには、ひっくりかえりそうになりました。 8月の時点で中学2年生レベルの理科がわかっていなかったのです。

それでも合格しました。

合格したことを知った友人たちからは「替え玉受験したの?」「どうやって裏口入学したの?」と訊かれ、 勤務中の父親に合格を電話で報告したところ、「ありえないことを言うな」と電話を切られたくらいでした。 合格するには、生徒本人の頑張りと才能は不可欠です。 しかし、それだけではこれほどの短期間で合格することは不可能でしょう。

では、どうして彼女は合格したのでしょうか。

まず、安易には教えすぎないことです。 丁寧に教えすぎると、その場では解けても、すぐに忘れてしまうのです。 一定のレベル以上、自分の頭脳で考え抜く必要があるのです。 それも自分の頭と目と手を使ってです。

つぎに挙げられるのは、教材の選び方です。

限られた時間で得点力を上げるには、徹底して無駄を省く必要があります。 この分野についてはこの参考書のこの部分を、あの分野のあの部分については、 別の参考書の特定の箇所という具合に、勉強してもらいました。 この手法は、教える側がかなりの冊数の参考書の内容を知悉していないとなかなかできるものではありません。 一般の塾・予備校では、授業以外では、基本的な参考書を家庭学習でこなすように指示し、 それが終われば、少しレベルを上げた参考書・問題集をこなすように指示するようですが、 それでは時間の無駄が多くなりすぎます。

また、化学に関しては、暗記事項は後回しにして、ひたすら「理論」を中心に勉強してもらいました。 「無機」「有機」は、理論を仕上げれば、楽に憶えていけるので、このほうが効率よく学力をつけることができます。

第3に挙げられるのは、過去問対策です。

日本薬科大学は新設校(当時)で、過去問はありません。

出題例のようのものはあったものの充分ではありません。

調べると、福岡県にある第一薬科大学と同じところが資金を出して新設された大学でした。 また、第一薬科大学の教授だった教授もいます。 合格ラインも首都圏(大宮市)にあることから第一薬科大学より難易度は高いと予想されます。

そこで、新設校であるから過去問対策ができないとは考えずに、 第一薬科大学と出題傾向がおのずと近くなると考えました。 過去問対策の代わりに、第一薬科大学の過去問対策をおこないました。 他の受験生は過去問対策をやっていないであろうから、 この点はかなり有利に働いたと思われます。

そうしたところ、2月7日の1回目の試験で合格しました。

正直なところ、1月の時点での手ごたえでは、3月10日に実施される3回目の受験でなんとか滑り込むであろうと 予想していたのですが、予想より早く合格しました。

追記

大学入学後、この生徒が大学の同級生に「化学で偏差値28をとったことがある」と告げたところ、唖然とされたそうです。 同級生のひとりは横浜にある高校の出身で、この高校は卒業生約150人に対して早稲田・慶応義塾にそれぞれ40名前後の合格者を出しています。 その生徒は、偏差値28をとった者が同級生にいることを知って 「ああ、おれは偏差値28をとるような受験生でも半年勉強すれば入れるような大学にしか進学できなかったのか」 と愕然としたそうです。

さらには、入学早々に実施された基礎学力考査で、うちの生徒は周囲のだれにも負けない成績でした。 その理由のひとつとしては、当校では常に長期記憶の保持を念頭においた指導をしているので、 1か月やそこら、なにもしなくても記憶量がそれほど減らないということが挙げられるかと思われます。 すると、先ほどの横浜にある高校の出身の学生は「代ゼミで偏差値28をとるようなやつに基礎学力考査で負けた」 と再びショックを受けてしまったそうです。