男たちの大和/YAMATO


東映
2005年日本映画、145分

ストーリー
鹿児島県・枕崎で生きてきた老漁師の神尾は、内田真貴子と名乗る若い女性に懇願され、東シナ海を西へと、小さな漁船を走らせていた。「内田二兵曹……」。 神尾の胸に、鮮やかに、そして切々と甦ってくるのは、60年前の光景、戦友たちの姿……。
昭和19年2月、神尾たち特別年少兵が、大和に乗組む。その威容に、10代の少年たちの目が輝く。がそれも束の間、厳しい訓練が始まった。彼らの前に、際立って魅力的な、かつ尊敬できる上官が二人現われる。機銃射手である内田二兵曹と、烹炊(ほうすい)所の班長を務める森脇二主曹。 森脇と内田は、配属場所こそ違え、気心の知れた仲で、柔道で激しい申し合いをするなどお互いに切磋琢磨し、大和の下士官の中で異彩を放っていた。
同年10月、レイテ沖海戦に出撃する大和は、襲来する 米軍機の激しい爆撃、機銃掃射にさらされる。負傷した内田を戦時治療室に運んだ森脇は、初めての実戦に戸惑う神尾(松山ケンイチ)ら特年兵たちを叱咤激励し続ける。事実上連合艦隊が壊滅に追い込まれたこの海戦で、重傷を負った内田は、呉の海軍病院送りとなり、大和の任務から外れることになった。
4月1日、米軍機が沖縄に来襲、参謀長より遂に伊藤司令官、有賀艦長に対して、沖縄への大和の特攻の命が下される。 各々の覚悟と想いを胸に秘めた3000余名の乗組員たちが前甲板に勢揃いする。 4月6日、いよいよ大和以下10隻の艦隊が、豊後水道を南下、翌7日、その動きを察知したアメリカ軍艦載機が来襲。全速力で進む大和に、次々に襲い掛かる、爆撃機、雷撃機。迎え撃つ46cm主砲が火を噴く。 応戦する大和艦内各所で、乗組員たちの、最後の奮闘が始まった……

キャスト
反町隆史、中村獅童、鈴木京香、松山ケンイチ、蒼井優、渡哲也、仲代達矢

スタッフ
監督、脚本:佐藤純彌
製作:角川春樹
音楽:久石譲

レビュー
今年(2005年)は戦後60年。ということで戦艦大和の乗組員の生き様を描いた「男たちの大和/YAMATO」を観ました。

ストーリーは仲代達矢演じる神尾の回想物語。戦艦大和に乗り込み、日本、そして自分の愛する人々を守るために必死で戦った兵士達の姿が思い出されていきます。僕は日本の戦争映画を観たことがなかったのですが、この映画は日本の兵士がどれほどの覚悟で、信念で散っていったのかが深く描かれていて本当に感動しました!僕と年がそんなに変わらない若者兵士が戦いに行くなんてホンマに衝撃的ですわ。まあ東条英機などにマインド・コントロールされてしまったのは事実ですけど、それは国家の方針やったし仕方が無いかな・・・。やはり国家というもの、いつかは戦わざるを得ないときがあります。日本は闘わざるを得ない状況だったので、その方針も受け入れざるを得ないでしょう。兵士は日本、家族、そして愛人を守るために、本当に必死で戦い、散っていった。日本は負けはしましたが、僕らはこの兵士達の上で成り立ってます。そんな思いをさせてくれる映画でした。

この映画は、連合国の兵士を殺すのを直接描いているシーンは在りません。だから、本当に純粋に戦争の悲劇だけを訴えているんだなと思いました。その通り戦闘シーンは臨場感たっぷりでかなり迫力あり。セットは莫大な費用をかけて大和を作ったらしいです。とても良く出来てました。主演は反町隆史と中村獅童。この二人も演技が格好よくて、男気たっぷりでした。さらに良かったのが蒼井優。自分の愛する神尾が戦場へ行ってしまう、という辛い心情を本当によく表現していたと思います。久々に心が揺さぶられました。最後に流れる長渕剛のテーマ曲もいいね、男の生き様を伝える歌はこの人が一番やね。

最も悲しいシーンが母親と息子の別れのシーン。もう悲しすぎて本当に泣けました・・・。またまた心が揺さぶられました。送り出す時、母親も辛い気持ちやったんやろなぁ。自分の子供が戦場へ行くなんて考えられへん、マジで悲しいわ。思い出すだけで泣けてしまいます。僕が座っていた座席の隣には90代のおばあちゃんがいて、マジ泣きしてました。自分の境遇と照らし合わせていたんでしょうなぁ。そのおばあちゃんだけではなく、劇場には多数の老人がいました。おそらく戦争世代でしょう。

よく分からなかったんですが、反町や中村は最後どうなったんでしょう。大和が沈んだ後のその後が描かれてなくてちょっとよく分かりませんでした。でもまあ別にええか。何はともあれ、戦争を知らない僕のような世代は絶対観るべきです。もう一度言いますが、これらの兵士の上に自分達が生きていられる、ということを気付かされます。熱くて泣ける男たちの物語を是非観ることをお勧めします。

評価
9点(満点10点)

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