宇宙戦争
WAR OF THE WORLDS


UIP
2005年アメリカ映画、114分

ストーリー
雲ひとつない晴天に包まれた、アメリカ東部のある町に異変は突然起こった。上空で発生した激しい稲光の一つは地上にまで達し、その下で巨大な何かが大地を震わせうごめき始めた。そこに居合わせたレイは、この常識では考えられない現象に直面し、恐怖に怯える人々と共に状況を見守る。そして人類が体験したことのない異星人の襲撃が目前で始まった。侵略者が操る”トライポッド”が地底よりその巨大な姿を現し、地球侵略を開始したのだ。何とか家にたどり着いたレイは、テレビのニュースで世界16カ国が同時に襲われたことを知る。レイは息子のロビーと娘レイチェルを連れ、安全と思われる土地へと逃げる準備をする。 侵略者を前に戦う術を持たない人間たちは、今、世界のいたるところで難民と化していく。そして極限の恐怖は瞬く間に全世界に広がり、地球はかつての支配者を追い詰めていった。愛するものが消えていくとき、人類に残されたのは愛と勇気だけだった・・・。

キャスト
トム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ジャスティン・チャットウィン、ミランダ・オットー

スタッフ
監督:スティーブン・スピルバーグ
製作:ポーラ・ワグナー
原作:H.G.ウェルズ
脚本:デビッド・コープ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
特殊効果:インダストリアル・ライト・アンド・マジック

レビュー
「宇宙戦争」を見ました。なんといってもあのスティーブン・スピルバーグがILMの特殊技術を駆使して「宇宙戦争」をリメイク(「宇宙戦争」は1953年に映画化されました。)するということで話題性も抜群!僕も、スピルバーグは一体どんな火星人を作り、どんなスゴイ戦争をビジュアル化するのかとワクワクさせて期待していました。 まさかスピルバーグはいつも通りの展開にはしないだろう、何か他とは別の展開を用意しているだろうと思っていましたが、別の意味で他と違っていました。

納得いかないのは、主人公とその子供の愛情関係です。主人公とその息子は一体いつの間にラストで抱き合えるような信頼関係を築き上げたのだろうか。なんか無理やりな感じがします。そもそも息子はあんな爆発の中でよく生き残ったなぁ〜。それによく一人でボストンに来れたなぁ〜。

元妻のいるボストンは何で無事やねん!しかも元妻はこの宇宙人襲来のニュースを聞いてるはずなのに逃げださなかったのかよ!トム・クルーズが来るのを信じてたのかな〜。あとティム・ロビンス演じるおっさんの行動がなんか不可解で意味わかりませーん。このキャラ別に要らんちゃう?

特に不満なのがラストです。宇宙人はどういう理由で死んだのか。僕にはそこらへんがよくわかりませんでした。最後のナレーションで「宇宙人は神が創造した生命で死んだ」とかいってますけど、理由が曖昧すぎやねん!それに最後何でバリヤーが無くなんの?それもよくわかりまへんわ。僕には、こういうラストがうやむやなやつが一番ムカつくんです。

あと個人的にもっと壮大な映画にしてほしかったなぁ。宇宙人の恐怖を描くのにバックグラウンドがアメリカだけじゃ狭くない?「デイ・アフター・トゥモロー」みたいに世界中の様子を見せてほしかった。アメリカが攻撃されている映像だけじゃあ、事態の深刻さ、戦争の悲惨さが伝わらないように僕には思われました。その点「デイ・アフター・トゥモロー」はちょっと良かったかなと思います(ただしこの映画は戦争は描いておりません)。原題の“WAR OF THE WORLDS”は一体なんなんだ!家族の愛か宇宙人の恐怖のどちらに重点が置かれているのかわからん。だからデビッド・コープの今回の脚本ははっきり言って手抜きやと思う。あと上映時間がかなり短いのもちょっと不満です。宇宙人の乗り物も“トライポッド”だけじゃあ不満です。

宇宙人は何で人間の血を吸うのかな?人間の血欲しいのかな?それじゃあ、何で人間を灰にしたりして殺すの?血吸うて殺すんか、灰にして殺すんかはっきりせいや!

でも宇宙人の攻撃シーン(特に人間を灰にするシーン)はかなり迫力があったし、血を吸うシーンも衝撃的で侵略の恐怖が伝わりました。特によかったのが、混乱した民衆が一刻も早く逃げるために主人公の乗る車を奪おうとして大勢で車を奪い合うシーンです。大混乱に陥った時、欲望をむき出しにして狂気に走ってしまうという人間の内面がリアルによく描かれていました。ダコタ・ファニングの演技も良かったです。まだ子供なのに何でこんなに上手いんだ!? しかしよく考えたら叫んでばっかりだったわ。あと顔はそんなに可愛くないと思うのは僕だけだろうか・・・。

結論としてこの映画は最新の特殊効果をただ単に見せる映画です。僕が見たスピルバーグ作品で一番面白くなかった映画でした。2005年夏は、ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」とスピルバーグの「宇宙戦争」との一騎打ちでも話題になりましたが、「スター・ウォーズ」の方が断然面白いと思います。

評価
3点(満点10点)

DVD
  • 特典
      1.再び、宇宙人襲来(8分30秒)
      スティーヴン・スピルバーグが、トム・クルーズとコラボレーションによって「宇宙戦争」の制作を決意した経緯。

      2.インタビュー:H.G.ウェルズの遺産(6分21秒)
      伝説の作家H.G.ウェルズについて、彼の孫とひ孫が語る。原作である古典的小説からの脚色について、脚本のデヴィッド・コープとスティーヴン・スピルバーグが語る。

      3.スティーヴン・スピルバーグと最初の「宇宙戦争」(8分1秒)
      ジョージ・パル製作の最初「宇宙戦争」を振り返る。旧「宇宙戦争」に出演したジーン・バリーとアン・ロビンソンへの撮り下ろしインタビュー。

      4.登場人物:「宇宙戦争」の家族構成(8分24秒)
      スティーヴン・スピルバーグとトム・クルーズが主人公レイ・フェリアーの家族を紹介する。

      5.プレヴィジュアライゼーション(6分47秒)
      ”プレヴィズ”チームとともにシークエンスを作成するスティーヴン・スピルバーグの姿を追う。

      6.プリ・プロダクション(9分)
      セットのデザインや撮影方法など「宇宙戦争」独特の世界観や、ユニークで独創的な映像制作の過程を紹介。

      7.プロダクション日誌:東海岸(2004年10月〜12月) A.「始まり」(16分) B.「放浪」(23分)

      8.プロダクション日誌:西海岸(2005年1月〜3月) A.「破壊」(26分) B.「戦争」(23分)

      9.外敵をデザインする:トライポッドとエイリアン(15分)
      「宇宙戦争」のトライポッドとエイリアンのデザインについてスタッフと論議を重ねるスティーヴン・スピルバーグの様子。

      10.「宇宙戦争」の音楽(10分)
      スティーヴン・スピルバーグと音楽担当のジョン・ウィリアムスによる楽曲作りの様子。

      11.私たちは孤独ではない(5分)
      スティーヴン・スピルバーグと制作スタッフによる、「宇宙戦争」に寄せるメッセージ。
  • 時間 117分+165分
  • 色彩 カラー
  • 面・層 片面2層×2
  • 映像 16:9/LB
  • リージョン 2
  • 字幕 日本語・英語・日本語吹替え用
  • 音声 1:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語 2:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語
  • 販売元パラマウント・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

    トップへ戻る
    レビューへ戻る