プルーフ・オブ・マイ・ライフ
PROOF
ギャガ・ヒューマックス
2005年アメリカ映画、103分
<ストーリー>
父親譲りの天才的な数学の才能を持つ女性、キャサリン。その父ロバートは5年前から精神のバランスを崩してしまい、キャサリンはたった一人で看病を続けてきた。しかしキャサリンの願いも空しくロバートは一週間前に亡くなる。悲嘆に暮れるキャサリンのもとにロバートのかつての教え子、ハルが現われる。いつしか2人は恋に落ちる。そんな矢先、ハルはロバートのデスクから一冊のノートを見つけ出す。そこにはなんと、これまで誰も成し得なかったある定理の証明が記されていた。しかし、興奮するハルに対しキャサリンは、それは自分が書いたものだ、と思いがけない言葉を発するのだった…。
<スタッフ>
監督:ジョン・マッデン
脚本:デヴィッド・オーバーン
製作総指揮:ジュリー・ゴールドスタイン、ボブ・ワインスタイン
音楽:スティーブン・ウォーベック
<レビュー>
ピューリッツァー賞やトニー賞に輝いた傑作舞台「プルーフ」を映画化した。監督はジョン・マッデンで、主演はグウィネス・パルトロウ。「恋に落ちたシェイクスピア」のコンビだ。しかも「プルーフ」のロンドン公演も同じコンビ。
物語のテーマは「人生の再出発」。主人公のキャサリンは看病していた天才数学者の父親の死による喪失感から、抜け殻のようになってしまった。そんな中、父親の教え子のハルと接することによって、再び人生を歩き出すことを考え始める。この物語はつまり、精神的に深いダメージを受けてしまった女性の人生における新たな再出発を描いている。しかもキャサリンは父親のDNAを受け継いでいるせいか、元々情緒不安定、というか精神的に少し弱いという女性。偉大な数学者である父が精神的に不安定であることから、娘の自分も父親と同じようになってしまうのではないかと常に不安に思っているのである。ちなみに物語の構成が変わっていて、キャサリンの回想シーンと現在のシーンが複雑に絡み合っていて、これもキャサリンの精神性が出ているのかもしれない。ともかくキャサリンは人生に対して消極的になってしまっていたわけだが、ある数学の公式の“証明=プルーフ”を転機にして悩みから徐々に開放され、再出発を果たすことが出来るのである。個人的に好きな映画じゃないんだけど、情感に響くようなとても味わい深く印象的な物語だ。
キャサリンを演じるのは「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー主演女優賞を獲得したグウィネス・パルトロウ。ハッキリ言って、キャサリンの演技がメッチャ上手い!!心の不安定さを上手く表現し、共感できる女性像を見事作り出した。この映画で一番良かったのが彼女の演技だったと思う。あとはもちろん父親を演じたアンソニー・ホプキンス。まあ当然上手かったよね。偉大な数学者だったのに近年精神病にかかって正気でなくなった、カリスマ性と頑固さ、知性、狂気をかねそろえた人間をたくみに演じている。
監督は「数学の確実性と人生の不思議さを対比させて、人間の信頼関係や愛、人生を描きたかった」と述べている。正直言って僕は個人的には好きな映画ではないんだけども、女性の心情を描くことによって人生を捉えた素敵な作品だと思う。これを観れば、深い悲しみを抱いた時に何らかの答えを見出せるのかもしれないという感じがした、そんな映画である。
<評価>
8点(満点10点)
<DVD>
特典
メイキング、
削除シーン、
オリジナル予告編・日本版予告編
ジョン・マッデン監督による音声解説
時間 103分+特典映像
色彩 カラー
面・層 片面1層
映像 16:9/LB
リージョン 2
字幕 日本語
音声 1:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語
2:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
3:ドルビーデジタル/ステレオ/英語/(音声解説)
販売元アミューズソフトエンタテインメント
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