アイリス
IRIS
松竹
2001年イギリス映画、91分
<ストーリー>
アイリス・マードックとジョン・ベイリー。2人は1950年代、オックスフォード大学で出会った。あまり目立たない存在だった講師のジョンは、豊かな知性と魅力的な容姿を兼ね備えたアイリスに、一目見た時から恋をする。やがて2人は結婚し、アイリスは次々と小説を発表、一流の作家になる。そして現在。40年の歳月を経て、2人の絆はより深く強固なものとなっていた。ある日、アイリスは同じ言葉を繰り返したり言葉につまることで、脳に異変が起きていることに気付く。精密検査の結果、現代の医療では治すことの出来ない病アルツハイマーと診断される。
<キャスト>
ジュディ・デンチ、ジム・ブロードベント、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・ボネヴィル
<スタッフ>
監督:リチャード・エアー
製作総指揮:アンソニー・ミンゲラ、シドニー・ポラック
原作:ジョン・ベイリー
音楽:ジェームス・ホーナー
<レビュー>
イギリスの女性哲学者、アイリス・マードックと彼の夫、ジョン・ベイリーとの真実の愛を描いたヒューマン・ドラマ。このアイリスは、イギリスでは最も素晴らしい女性と讃えられているらしい。
高齢のアイリスがアルツハイマー病に蝕まれていくのを主に描き、回想シーンとして若き日のアイリスの様子を織り交ぜた構成。現在のアイリスを、「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー助演女優賞を獲得したジュディ・デンチが、若き日のアイリスをケイト・ウィンスレットが巧みに演じている。しかし今回は彼女達だけじゃなくて、彼女の夫、ジョン・ベイリーを演じたジム・ブロードベントやヒュー・ボネヴィルも、とても演技が自然で上手かった。
アルツハイマー病で言葉をどんどん失っていくアイリスを、時には挫けて苛立ちを噴出させてしまうけれど、それでも必死に支え続けるジョンの静かで献身的な愛がこの作品には描かれていて、とても深い感動を呼ぶ。ジム・ブロードベントは喪失感に満ちていながらも愛を忘れず微笑みを絶やさないジョンを見事に演じ、見る者に愛とは何かを訴えてくれた。結局、ジム・ブロードベントはこの作品でアカデミー助演男優賞を獲得した。
若い時の快活なアイリスと病気で正気を失っていくアイリスとを比べることによって何となく絶望感を味わってしまう。アルツハイマー病の恐ろしさをまざまざと見せ付けられてしまうんだが、それに立ち向かっていく夫婦の愛というものを観て欲しい。愛とは、相手を慈しみ、尊敬し合い、理解し合うことだということを感じた一本だった。大人になってから、もう一度観てみたいと思う。
<評価>
9点(満点10点)
<DVD>
特典(約10分)
予告篇 (日本版・海外版)
日本版TVスポット
メイキング
アルツハイマー協会表彰式映像
時間 本編91分・映像特典約28分
色彩 カラー
面・層 片面1層
映像 16:9/LB
リージョン 2
字幕 日本語・英語・日本語吹替え用
音声 1:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語
2:ドルビーデジタル/ステレオ/日本語
販売元松竹ホームビデオ
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