ヒトラー 〜最期の12日間〜
DER UNTERGANG
ギャガ・コミュニケーションズ
2004年ドイツ・イタリア映画、155分
<ストーリー>
1942年、トラウドゥル・ユンゲは数人の候補の中からヒトラー総統の個人秘書に抜擢された。1945年4月20日、ベルリン。第二次大戦は佳境を迎え、ドイツ軍は連合軍に追い詰められつつあった。ヒトラーは身内や側近と共に首相官邸の地下要塞へ潜り、ユンゲもあとに続く。そこで彼女は、冷静さを失い狂人化していくヒトラーを目の当たりにするのだった。ベルリン市内も混乱を極め、民兵は武器も持たずに立ち向かい、戦争に参加しない市民は親衛隊に射殺されていく。そして側近たちも次々と逃亡する中、ヒトラーは敗北を認めず最終決戦を決意するが…。
<キャスト>
ブルーノ・ガンツ、アレクサンドラ・マリア・ラーラ、ユリアーネ・ケーラー、トーマス・クレッチマン、コリンナ・ハルフォーフ
<スタッフ>
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
原作:ヨアヒム・フェスト、トラウドゥル・ユンゲ
脚本:ベルント・アイヒンガー
音楽:ステファン・ツァハリアス
<レビュー>
今年は戦後60年の年。そこで「ヒトラー 〜最期の12日間〜」を観ました。この映画、初めてヒトラーという人物に焦点を当てたということで話題になりました。なので、ヒトラーの生前最後の12日間をその秘書の証言を基に克明に描いた半ドキュメンタリー作品となっています。
今までドイツではヒトラーについての映画を撮ることはタブーだったらしい。でもこの作品は改めて第2次世界大戦における事実に目を向けて、ヒトラーという人物とベルリンの様子を客観的に描いている。そのあたりがとても興味深いし、この映画の意義でもあると思う。この映画を観れば、ヒトラーが一体どんな人間だったのか、そして当時ベルリンがどういう風に崩壊していったのかがよく分かる。個人的に僕はヒトラーの台詞を考えると、ヒトラーが国民のことをないがしろにし、敗戦を考えつつも勝利を信じて部下に無理な作戦を命じる将軍だと感じられたのだが、まあそこは人によって違う。これを観てヒトラーがどんな人間に思われるか、そこはこの映画の問いかけだと思う。ところでヒトラーを演じたブルーノ・ガンツは血気迫る演技を見せている。もうヒトラーそのものだ。追い込まれて精神をすり減らしていくヒトラーの心情をダイナミックな演技で表現してる。
ビックリしたのはゲッベルス婦人である。ヒトラーを崇拝するあまりヒトラーのいない世界では生きてゆけないということで、自分の子供を殺して自分達も死んでしまったが、ヒトラーが自殺を誘引するような人物だったことが本当に衝撃的だった。このようなことがあったなんて信じられない・・・。自分だけが自殺するのはまだしも、自分の子供達も一緒に殺すなんて・・・。あと衝撃的だったのは、子供で構成された防衛隊が存在してたこと。これは日本が十代の子供を招集したのと同じだろうが、こんな子供も洗脳されて戦場へ向かっていくんだなぁ。
ヒトラーに焦点を当てたとはいっても終わる30分前には彼は自殺してしまうが、ヒトラーの人物像だけではなくドイツでの戦場の様子もリアルに見せ付ける。空爆や銃撃戦など臨場感のある映像でベルリンの戦場での様子を見事に表現していた。内容が重くシリアスで展開も少し遅い感じがするだけに観てて正直しんどくなることは否めないけど、とにかくヒトラーのリアルな最期の姿、そしてナチズムがもたらした結果は一度観てみることはお勧めする。それをどう評価するかは観た人次第だと思う。
<評価>
7点(満点10点)
<DVD>
特典
本編ディスク:
オリジナル予告篇,
日本劇場版予告篇,
TVスポット
特典ディスク:
歴史の証人たち 〜キャスト、スタッフが語る帝国の最期〜 (キャスト&スタッフインタビュー 12名)
ドキュメンタリー作家が見た秘書ユンゲ,
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督&ブルーノ・ガンツ 来日インタビュー
ヒトラー12日間の軌跡 (メイキング),
陥落の街 〜ロケ地ロシア撮影風景〜
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督撮影講義 (監督コメンタリー付き撮影風景)
時間 155分+特典映像
色彩 カラー
面・層 片面2層×2
リージョン 2
字幕 日本語・日本語吹替え用字幕
音声 1:DTS/5.1chサラウンド/ドイツ語
2:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/ドイツ語
3:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/日本語
販売元日活
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