エレリイ・クイーン式 探偵小説批判表

要 素 プロット サスペンス 意外な
解決
解決の
分析
文体 性格 舞台 殺人
方法
手掛り フェア
プレイ
批 評
グリーン・マーダー・ケース」
S・S・ヴァンダイン
7 1/2 7 1/2 10 79% 秀逸のレベルに僅かに及び得ない。サスペンスと分析とフェアプレイの点に於て優れている。ヴァン・ダイン氏の作中最も傑出したもの。
「矢の家」
A・E・W・メイスン
8 1/2 7 1/2 10 10 74% 佳作と秀逸の間。一個の素晴らしく頭のいい手掛りに於て普通の作のレベルを突破している。
「モルグ街の殺人」 E・A・ポオ 10 8 1/2 10 10 6 1/2 10 10 86% 此の作を批評する際には必ずこれが生まれた年代を考慮に入れてかかれなければならない。もしこれが今日書かれたとすれば、もっともっと低い点に落ちるだろう。がともかくも十個の全部門に於て彼が残した足跡は偉大である。
「アクロイド殺し」
アガサ・クリスティ
10 10 10 79% 秀逸のレベルに僅かに及び得ない。「意外な解決」の点に於てはクラシックに価する。ただ他の要素がこれに追従し得ていないのが遺憾である。
「トレント最後の事件」 E・ベントリ 7 1/2 10 7 1/2 72% 佳作。少々悪賢い探偵小説であるが、トリックの点に於ては賞揚するに足る。(訳者註、邦訳「生ける死美人」)
「カーテンのうしろ」 【チャーリー・チャンの追跡】
E・D・ビガーズ
72% 佳作。普通の水準は遥かに突破している。ビガース氏はすべての点で平均のとれたストーリイを書いた傑れた作家であった。

  50――平均、60――やや佳、70――佳作、80――秀逸、85――傑作、90――クラシック